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高野山へ向かう道の途中
天見温泉は大阪府河内長野市の天見にある。四方を金剛葛城山系に囲まれた谷で、旧高野街道が南北に走る。
南海高野線の天見駅から徒歩1分。大阪難波から急行で40分。大阪の中心からこの距離に、渓流沿いの一軒宿がある。
南北朝時代の湯治場
南天苑は、この温泉の歴史をかなり詳しく伝えている。
天見温泉の歴史は南北朝時代に始まったと伝えられ、河内長野市内では最古の温泉と考えられている。紀見峠は古くから高野山参拝に用いられ、庶民や貴族をはじめ多くの往来があった。そのため南北朝時代に、近郷の流谷八幡神社の宮司が病弱に苦しむ人のために湯治場を開くと、大いにもてはやされた。
この功績から高野山が寺領を寄進し、流谷神社は神仏習合して流谷極楽寺が建立された。参拝客は極楽寺を参ってから高野山へ向かうのが慣習になり、「極楽温泉」と呼ばれるまでに栄えた。
ところが寛延3年に神社が焼失し、極楽寺にあった極楽湯室も類焼して、すべてが灰になった。再建は叶わず、そのまま廃湯となって遺址だけが残った——というのが宿の伝える顛末だ。天見という地名は、神社のあった天見村に由来する。
天然ラジウム泉
今の天見温泉は、南天苑が引く天然ラジウム泉だ。宿の表記は「単純弱放射能泉・低張性・中性・冷鉱泉」。冷鉱泉なので温めて使う。
効能として挙げているのは神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、慢性消化器病、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、動脈硬化、高血圧、やけど、切り傷など。
大阪観光局は「とろみのある肌触り」で「豊富に含まれた天然のラドンが発汗作用や新陳代謝を高める」と紹介している。
東京駅の設計者が建てた宿
この温泉地のいちばんの特徴は、湯ではなく建物かもしれない。
南天苑の本館は、東京駅や日本銀行本店を手がけた辰野金吾の設計による。もともとは堺市大浜公園にあった娯楽保養施設「潮湯」の別館「家族湯」で、設計は辰野片岡建築事務所だった。
1934年の室戸台風で破損したのを機に、翌1935年、南海電鉄がこれを天見へ移築した。数寄屋風の木造建築で、随所に茶室建築を思わせる意匠がある。辰野の作品の中でも希少な和風建築だ。
移築の話は長く口承にとどまっていたが、2002年に明治建築研究会が調査を始め、南海電鉄資料室から戦前の移築当時の資料が見つかって証明された。2003年、「歴史的な様式をとどめ、現代に残る近代建築である」として国の登録有形文化財に指定されている。
三千坪の庭
宿には三千坪に及ぶ日本庭園がある。春は桜、夏は蛍、秋は紅葉、冬は雪をかぶった実南天。年中を通して咲く花々と野鳥のさえずりがある、と宿は書いている。
南天苑という名前も、この実南天から来ているのだろう。
日帰りは食事とセット
ひとつ断っておくと、湯だけ浴びて帰ることはできない。南天苑は「温泉のみのご利用は出来ません」と明記している。日帰りは食事付きのプランになる。
宿泊者は終日入浴できる(9時30分から11時の清掃時間を除く)。
大阪にもうひとつの温泉地
大阪府の温泉というと、まず泉佐野の犬鳴山温泉が挙がる。天見温泉はもうひとつの選択肢だ。
なんばから急行で40分、駅から徒歩1分。車がなくても行ける。南北朝時代からの来歴と、辰野金吾の建築と、ラジウムの湯。大阪府内でこれだけそろう場所は他にない。
天見温泉の日帰り入浴
- 旧高野街道と紀見峠
- 観心寺と金剛寺(河内長野)
- 三千坪の日本庭園(南天苑)
天見駅から徒歩1分なので、車がなくても行けます。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
春・秋
- 所在地Location
- 大阪府
- 泉質Spring Quality
- 放射能泉
- 最寄駅Nearest Station
- 南海高野線 天見駅(徒歩約1分)/なんばから急行約40分
- 東京からFrom Tokyo
- 約3時間30分(新大阪経由)
- 大阪からFrom Osaka
- 約40分
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
天見温泉のよくある質問
Q天見温泉の泉質は?
南天苑は、泉質を天然ラジウム泉(単純弱放射能泉・低張性・中性・冷鉱泉)と公表しています。効能として神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、慢性消化器病、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、動脈硬化、高血圧、やけど、切り傷などを挙げています。効き方は人によるので、医師に確かめてください。
Q天見温泉の歴史は?
南天苑は、天見温泉の歴史は南北朝時代に始まったと伝えられ、河内長野市内では最古の温泉と考えられていると案内しています。紀見峠は古くから高野山参拝に使われた道で、南北朝時代に近郷の流谷八幡神社の宮司が病弱に苦しむ人のために湯治場を開くと大いにもてはやされたといいます。高野山から寺領を寄進され、流谷極楽寺が建立されて「極楽温泉」と呼ばれるまでに栄えましたが、寛延3年に神社が焼失して湯室も類焼し、そのまま廃湯になりました。地名の天見は、神社のあった天見村に由来します。
Q辰野金吾の建築が残っているというのは?
南天苑の本館がそれです。堺市大浜公園にあった娯楽保養施設「潮湯」の別館「家族湯」で、設計は辰野金吾が率いる辰野片岡建築事務所でした。1934年の室戸台風で破損したのを機に、1935年に南海電鉄が天見へ移築しました。2002年に明治建築研究会の調査と南海電鉄資料室の資料で辰野設計であることが証明され、2003年に国の登録有形文化財に指定されています。
Q日帰りで入れますか?
南天苑は「温泉のみのご利用は出来ません」と明記していて、日帰りは食事付きのプランになります。宿泊の人は終日入浴できます(9時30分から11時の清掃時間を除く)。
Q天見温泉へのアクセスは?
南海高野線の天見駅から徒歩1分です。大阪難波から急行で約40分。車なら阪和自動車道の美原北ICから国道309号、170号、371号を経由します。駐車場は20台、無料の先着順です。
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UPDATED 2026.09.23



