温泉の泉質は、環境省の「鉱泉分析法指針」に基づいて十種類に分けられています。
正確にいえば、これは療養泉の分類です。温泉法上の温泉であっても、療養泉の条件を満たさなければこの十種類のどれにも当てはまりません。
十種類とは何か
単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉。この十です。
含よう素泉は2014年の指針改定で加わったもので、それ以前の資料では九種類とされています。古い本や掲示と数が合わないことがあるのはこのためです。
名前が性質を表している
泉質名は、多く含まれる成分から順に並べてつけられます。
「ナトリウム・塩化物泉」なら、陽イオンで最も多いのがナトリウム、陰イオンで最も多いのが塩化物イオンということです。これが分かると、掲示された長い泉質名も読めるようになります。
「含硫黄-ナトリウム・塩化物泉」のように頭に「含」が付く場合は、主成分ではないが規定量を超えて含まれているという意味になります。
単純温泉は薄い湯ではない
十種類のうち、単純温泉だけは成分による分類ではありません。
溶存物質の量が規定に達しないものが単純温泉です。ただし温度の条件は満たしています。「成分が足りない湯」と受け取られがちですが、実際には刺激が少なく、長く浸かれる、体への負担が小さいという性格を持っています。
下呂温泉のようにアルカリ性を帯びた単純温泉は、肌の角質をやわらげるため「美人の湯」と呼ばれることがあります。
同じ温泉地でも湯が違う
一つの温泉地に複数の泉質があることは珍しくありません。
源泉が複数あり、地下の通り道や湧く深さが違えば、溶け込む成分も変わります。鳴子温泉郷のように、狭い範囲に性質のまったく違う湯が並ぶ場所もあります。
宿を選ぶときに「その温泉地の泉質」だけを見ていると、実際に入る湯と食い違うことがあります。宿がどの源泉を引いているかまで見ておくと確実です。
泉質だけで選ばない
泉質は湯の性格を知る手がかりですが、体感を決めるのはそれだけではありません。
湯温、加水や加温の有無、浴槽の大きさ、湯の入れ替え方。同じ泉質でも、これらが違えば入ったときの印象は変わります。分析書の泉質欄と、浴場入口の掲示を合わせて見るのが確実です。
参考
環境省「温泉の保護と利用」(鉱泉分析法指針・掲示基準の掲載元)







