湯治は、療養を目的に温泉地へ長く滞在することです。
観光として一泊する形とは、滞在の設計そのものが違います。
一日に何度か、短く入る
湯治の入り方は、長く浸かることではありません。
一日に何度か短く入り、それを日数をかけて繰り返します。強い湯であればなおさら、一度に長く入るのではなく、間を置いて入り直すほうが体への負担が小さくなります。
酸ヶ湯温泉のような強い酸性泉の湯治場で、この入り方が受け継がれてきたのはそのためです。
自炊部という形
湯治宿には、自炊部を持つところがあります。
食事を宿が出さず、共同の炊事場で自分で作る形です。旅館部より宿泊料が安く、長期滞在を前提としています。花巻温泉郷の大沢温泉などにその姿を見ることができます。
同じ宿のなかに旅館部と自炊部が並んでいることもあります。同じ湯に入りながら、滞在の仕方が違うということです。
日数の考え方
古くは一週間を一巡りとする考え方がありました。
農閑期に集落から通うという形が各地にあり、湯治は暮らしの一部でした。現在は数泊から受け入れる宿もあります。
一泊でも湯には入れます。ただし湯治宿の成り立ちは長期滞在にあるので、連泊できるならそのほうが本来の使い方に近い。
国民保養温泉地という制度
湯治の考え方は制度にもなっています。
1954年、国が療養に適した温泉地を国民保養温泉地として指定を始めました。最初に指定された三か所のうちの一つが酸ヶ湯温泉です。観光地として発展した結果ではなく、湯の効きが先にありました。
今から湯治をするなら
自炊部を持つ宿、湯治用の部屋を残している宿は今もあります。
ただし数は減っています。受け入れ日数、炊事場の設備、寝具の扱いは宿によって違うので、事前の確認が要ります。
湯治として入るなら、予定を詰めないことが前提になります。一日に何度か湯に入り、間は休む。それだけで日が終わる滞在です。





