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大阪に残る唯一の温泉郷
大阪府に温泉地があると言うと、意外に思われることがある。犬鳴山温泉は泉佐野市の山あいにあり、泉佐野市観光協会はこれを「大阪に残る唯一の温泉郷」と書いている。
関西国際空港から車で30分、大阪市内から1時間。それでいて、渓流に囲まれた山の中だ。
もとは門前町だった
この温泉郷は、湯が湧いたから町ができたわけではない。
泉佐野市観光協会の説明はこうだ。「麓の温泉街は、従来七宝瀧寺の門前町であったところから犬鳴温泉郷として今日に至っている」。つまり、寺の参詣客を迎える宿場が先にあって、そこに温泉が加わった形だ。
七宝瀧寺は修験道の寺で、1300余年前に修験山伏道の開祖といわれる役の行者によって開かれた。大和の大峯山より6年早い開山だと協会は書いている。今も行者の滝では滝に打たれる修験者の姿を見ることができる。
女人禁制だった大峰山と違い、犬鳴山は女人大峰とも呼ばれ、女性の行者も多く修行している。一般向けの修験道体験もあり、山行場を歩いたり、滝に打たれたり、法螺貝を吹いたりできる。
犬が鳴く山
地名の由来は義犬伝説だ。
天徳年間(957〜961年)、紀州のある猟師が鹿を追って滝のあたりに来たとき、連れていた愛犬がうるさく吠えたてた。そのせいで獲物を取り逃がした猟師は、怒って犬の首をはねてしまう。ところが愛犬の首はそのまま踊り上がり、猟師を呑もうと狙っていた大蛇にかみついて、蛇とともに息絶えた。
犬が吠えたのは、主人の危急にいち早く気づいて救おうとしたからだった。これを知った猟師は悔いて修行者となり、愛犬をねんごろに供養し、自分の田地を不動堂に寄進した。このとき宇多帝から「犬鳴山」の勅号を賜った——と泉佐野市観光協会は伝えている。
寺の名も由来がある。弘法大師が山中の四十八滝のうち代表的な七つの滝に七宝(金銀)を納めたことから、淳和天皇が七宝瀧寺と名づけたという。
冷たい硫黄の湯
泉質について、泉佐野市観光協会は「自然に囲まれた犬鳴山温泉は、単純硫黄冷鉱泉がたっぷりと含まれています」と書いている。
宿によって表記に幅があり、み奈美亭は日本旅館協会の施設情報で自館の湯を純重曹泉(緩和性低張冷)としていて、楽天トラベルでは単純硫黄泉としている。いずれにせよ冷鉱泉なので、温めて使う。
効能として挙がるのはリウマチ性疾患、創傷、火傷、冷え性、皮膚病など。
四十八の滝
犬鳴山の谷には大小四十八の滝がある。なかでも両界の滝、塔の滝、弁天の滝、布引の滝、古津喜の滝、千手の滝、行者の滝の七瀑が知られる。
渓谷には遊歩道があり、犬鳴山バス停から行者の滝まで40分ほど。さらに登って和泉葛城山まで行けば往復6時間ほどのコースになる。参道には大阪府で一番高いといわれる38メートルのスギの大木があると協会は書いている。
植生はスギとヒノキの人工林が多く、コナラやリョウブなどの広葉樹も分布していて、モミジとカエデの紅葉が加わる。新緑と紅葉の時期がいい。
泊まるか、日帰りか
温泉郷には宿が数軒ある。み奈美亭は11時から21時(受付20時まで)、年中無休で日帰り入浴を受けている。食事付きの日帰りプランもあり、カモ鍋、きじ鍋、ぼたん鍋、行者鍋、それに佐野漁港の魚介を使った会席が出る。
関西空港から30分という位置なので、飛行機の前後に寄るという使い方もできる。大阪市内から1時間で、修験の谷と硫黄の湯がある。大阪に温泉はないと思っている人にこそ、一度行ってみてほしい場所だ。
犬鳴山温泉の日帰り入浴
- 犬鳴山七宝瀧寺と行者の滝
- 犬鳴山渓谷の四十八滝と遊歩道
- 和泉葛城山への登山道(往復約6時間)
渓谷の道は修験道の行場でもあります。修行中の人がいるときは静かに通ってください。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
秋・春
- 所在地Location
- 大阪府
- 泉質Spring Quality
- 硫黄泉・炭酸水素塩泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR阪和線 日根野駅(南海バス犬鳴山行き約20分)/南海本線 泉佐野駅(同約30〜40分)/阪和道 上之郷IC(車約10分)
- 東京からFrom Tokyo
- 約3時間30分(関西空港経由)
- 大阪からFrom Osaka
- 約1時間
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
犬鳴山温泉のよくある質問
Q犬鳴山温泉の泉質は?
泉佐野市観光協会は、犬鳴山温泉には単純硫黄冷鉱泉がたっぷり含まれていると紹介しています。宿によって表記が少し異なり、み奈美亭は自館の湯を純重曹泉(緩和性低張冷)と案内し(日本旅館協会の施設情報)、楽天トラベルの施設情報では単純硫黄泉としています。効能はリウマチ性疾患、創傷、火傷、冷え性、皮膚病など。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Q犬鳴山という名前の由来は?
義犬伝説があります。泉佐野市観光協会によれば、天徳年間(957〜961年)に紀州の猟師が鹿を追って滝のあたりに来たとき、連れていた愛犬がうるさく吠えたてました。獲物を取り逃がした猟師は怒って犬の首をはねてしまいますが、愛犬の首はそのまま踊り上がり、猟師を呑もうと狙っていた大蛇にかみついて蛇とともに息絶えました。犬が吠えたのは主人の危急に気づいて救おうとしたからで、これを知った猟師は悔いて修行者となり、愛犬を供養して自分の田地を不動堂に寄進した。このとき宇多帝から「犬鳴山」の勅号を賜った、と伝えられています。
Q七宝瀧寺とはどんな寺ですか?
犬鳴山にある修験道の寺です。泉佐野市観光協会は、犬鳴山は1300余年前に修験山伏道の開祖といわれる役の行者によって大和大峯山より6年早く開山され、現在でも行者の滝に打たれる修験者の姿を見られると書いています。女人禁制の大峰山と違い犬鳴山は女人大峰とも言われ、女性の行者も多く修行しています。修験道体験のプログラムもあります。
Q犬鳴山温泉で日帰り入浴はできますか?
できます。み奈美亭は11時から21時(受付は20時まで)、年中無休で日帰り入浴を受けていると泉佐野市観光協会は案内しています。食事付きの日帰りプランもあります。
Q犬鳴山温泉へのアクセスは?
JR阪和線の日根野駅から南海バスの犬鳴山行きで約20分、南海本線の泉佐野駅からは約30〜40分です。宿の無料送迎バスもあります(要予約)。車なら阪和自動車道の上之郷ICから約10分、関西国際空港から約30分。大阪市内からは1時間ほどです。
ほかの温泉地と比べる
犬鳴山温泉の宿

犬鳴山温泉 不動口館
2026年10月1日にリニューアルオープンした宿。客室の改装で温泉露天風呂付きの部屋が3室新たにできた。大阪から車で45分の渓流沿いで、春は山桜、初夏はホタル、秋は紅葉。渓流沿いの立地のため館内の移動に階段を使う箇所がある。

犬鳴山温泉 み奈美亭
大阪府泉佐野市、犬鳴川のそばに建つ15室の観光旅館。日本旅館協会の施設情報では源泉掛け流しで、泉質は純重曹泉(緩和性低張冷)。露天風呂は男性1か所・女性2か所、サウナと打たせ湯、ボディーシャワーを備える。日帰り入浴は11時から21時、年中無休。カモ鍋、きじ鍋、ぼたん鍋、行者鍋と佐野漁港の魚介を使った会席。関西空港から車30分。
UPDATED 2026.09.23


