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川に入る
大丸温泉旅館の名を知られたものにしているのは、川の湯である。
源泉から流れ出した湯が沢になって流れている。それをせき止めて浴槽にしてある。宿は「奥那須の源泉から流れる野趣あふれる川の湯」と書いている。
湯船に湯を引くのではなく、湯が流れている場所に入る。だから上流は熱く、下流はぬるい。自分で位置を選ぶことになる。
岩と木に囲まれていて、屋根はない。雪の日も、紅葉の日も、同じ川に入る。
内湯もあり、家族風呂もある。冬は一部の浴室が一時閉鎖されると宿が知らせているので、行く時期によって入れる風呂が変わる。
標高千三百メートル
宿は、那須連山の主峰である茶臼岳の懐に抱かれ200余年、標高1,300メートルの奥那須温泉郷にひっそり佇む宿だとしている。
那須の温泉は那須湯本が中心で、鹿の湯という強い酸性の硫黄泉がある。大丸はそこからさらに山を上った先にある。那須ロープウェイの山麓駅が近い。
日本秘湯を守る会の会員宿である。20室。
夕食をやめた理由を公開している
2026年5月、この宿は夕食の提供をやめた。
宿はその理由を公式に長く書いている。要点はこうである。
大丸温泉は長年にわたり湯治場として温泉療養を主とする役割を担ってきた。戦後の高度経済成長と交通の発達により、温泉地は観光や団体旅行の舞台へと姿を変え、宿の役割も湯治・療養の場から食事や娯楽を含めた総合的な滞在施設へと広がっていった。それは時代の要請であり、この宿もその流れの中にあった。
しかし近年、原材料費や光熱費、人件費等の高騰により宿泊業を取り巻く環境は厳しさを増している。料金改定を重ねてきたが、これ以上の値上げは温泉そのものを目的に来る客にとって大きな負担となりかねない。だから価格を上げ続ける道ではなく、原点に立ち返る道を選んだ。
夕食を見直し、素泊まりか朝食付きを基本とする。華美なサービスを削ぎ落とし、温泉と向き合う時間を守る。それを「温泉回帰」と呼ぶ。宿は「すべてを抱え込む場所」ではなく、温泉を中心に据えた「滞在の拠点」へ。泊食分離を進めることで地域の飲食店や事業者と連携し、温泉地全体としての魅力を高めたい。温泉は点ではなく、地域という面の中でこそ本来の力を発揮する。
宿はそう書いている。
泊まる側はどうするか
夕食が出ないということは、自分で用意するということである。
標高1,300メートルの一軒宿なので、歩いて行ける飲食店はない。那須湯本や那須高原まで下りれば店はあるが、車が要る。
現実的な選択は三つになる。下の町で食べてから上がる。買って持ち込む。あるいは夕食を抜いて、湯に入って早く寝る。
最後の選択は、湯治としてはむしろ本来の形である。宿が言っているのはそういうことでもある。
泉質
泉質は単純温泉。成分が濃くないので刺激が少ない。
那須には鹿の湯のような強酸性の硫黄泉もあるが、大丸の湯は穏やかである。川の湯という形が先に語られるぶん、湯そのものの性格は見落とされやすい。長く入っていられる湯である。
茶臼岳へ
那須ロープウェイの山麓駅が近い。茶臼岳は活火山で、九合目付近まで上がれる。
登って、下りて、川の湯に入る。この順序が一番素直な使い方になる。山の状況は火山活動で変わるので、気象庁の発表を確かめてから行くこと。
着くまで
JR那須塩原駅または黒磯駅から路線バスで約70分。宿は2日前までの予約制で有料の送迎も出している。
車なら東北自動車道の那須インターから約30分。駐車場は宿の手前の県営大丸駐車場を使う。
宿は予約受付の開始を宿泊日の3か月前からに変更したと知らせている。半年前から取れるつもりでいると、空振りする。
この宿を選ぶなら
料理を楽しみに行く宿ではなくなった。
そのかわり、何のために行くのかがはっきりしている。川がそのまま風呂になっている場所で、湯に入って過ごす。それだけを目的にできる人に向いている。
食事の算段を先にしておくこと。それさえ済めば、あとは湯だけの時間になる。
那須温泉 大丸温泉旅館のよくある質問
Q夕食は出ますか?
出ません。宿は2026年5月から夕食の提供を見直し、素泊まりまたは朝食付きを基本とする営業形態に移行しました。宿はこれを「温泉回帰」と呼び、泊食分離を進めて地域の飲食店と連携したいとしています。
Q「川の湯」とはどんな風呂ですか?
源泉から流れ出す川をせき止めて浴槽にした露天風呂です。宿は、奥那須の源泉から流れる野趣あふれる川の湯と案内しています。場所によって温度も深さも違います。
Q日帰り入浴はできますか?
できます。宿は日帰り入浴の営業日をカレンダーで公開していて、休業日が設けられています。料金は改定されることがあるので、公式の案内を確かめてから向かってください。
Qアクセスは?
JR那須塩原駅または黒磯駅から路線バスで約70分。宿は2日前までの予約制で有料送迎サービスも出しています。車なら東北自動車道の那須インターから約30分で、駐車場は宿の手前の県営大丸駐車場になります。
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この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

岩井温泉 浪漫伝承の宿 明石家
鳥取県創業400年と宿は書いている創業400年と宿が書く岩井温泉の18室の宿。約48度の源泉を何も足さずに湯船へ入れる。総ヒノキの男女別浴室、佐治石を使った庭園露天風呂、貸切露天風呂「森の方舟」と貸切サウナがある。岩美駅から送迎あり。

秩父七湯『御代の湯』 新木鉱泉旅館
埼玉県文政10年(1827年)創業埼玉県秩父市、約200年前から湧き続ける「御代の湯」を引く鉱泉宿。単純硫黄冷鉱泉で源泉温度約15度、加温して使う。つるっとした卵の白身のような肌ざわりから「卵水」と呼ばれる。露天風呂付き客室が石・陶器・ひのき・御影石の4種、直径150センチの御影石の貸切風呂もある。日帰り入浴は12時から21時。西武秩父駅からタクシー10分、送迎あり。通常は木曜定休。

和倉温泉 ゆけむりの宿美湾荘
石川県七尾湾に面した48室の宿。大浴場「真珠風呂」は女性側の天井に4万5千枚のアコヤ貝を張りめぐらす。1日500石(約93トン)引湯している源泉は飲用もでき、胃腸によいと宿は書く。露天風呂から海を一望する。
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