pHは、水溶液の酸性・アルカリ性の度合いを示す数字です。
7が中性で、それより小さければ酸性、大きければアルカリ性になります。温泉の掲示や分析書にはこの数字が書かれています。
数字がどこまで振れるか
日本の温泉は、この数字の幅が大きいことで知られます。
最も低い部類が玉川温泉で、pH1.2前後。次いで蔵王温泉が1.3から1.6前後、草津温泉が2.1前後です。いずれも肌にはっきりした刺激があります。
高いほうでは、道後温泉が9前後、下呂温泉が9.2前後。こちらは無色透明で刺激がなく、肌が滑らかに感じられます。
同じ「温泉」という言葉でも、pHで見ればまったく別の液体です。
対数なので差が大きい
pHは対数の目盛りです。1違うと10倍、2違うと100倍になります。
pH2.1の草津とpH1.2の玉川は、数字では0.9しか違いませんが、酸の濃さでは8倍近い差があります。
「pH2と3ならたいして変わらない」という読み方はできません。
低いほうで起こること
強い酸性の湯では、肌にぴりぴりした感触があります。
傷があればしみます。長く浸かれば肌が痛みます。玉川温泉では、そのままでは強すぎるため、源泉100パーセントの浴槽と50パーセントに薄めた浴槽が分けて用意されています。
入り方も変わります。短く入って上がり、体が落ち着いてからまた入る。長湯を前提にしない湯です。
湯上がりに真水で流すと負担が軽くなります。銀製品は硫黄で変色するため外してください。
高いほうで起こること
アルカリ性の湯では、肌が滑らかに感じられます。
アルカリが肌の角質をやわらかくするためで、湯に浸かって体をこするとさらに滑らかになります。「美人の湯」「美肌の湯」と呼ばれる湯の多くはこの性質によります。
下呂温泉、道後温泉、湯田温泉、おごと温泉。いずれもアルカリ性単純温泉で、刺激が少なく長く浸かっていられます。
ただし、こすりすぎると必要な皮脂まで落ちます。滑らかになるのは角質が緩んでいる状態でもあるので、加減が要ります。
濁りとpHは別の話
白く濁っているから酸性が強い、ということはありません。
白骨温泉は乳白色に濁りますが、炭酸水素塩泉と硫黄泉で、酸性は強くありません。逆に草津温泉は強い酸性ですが、湯は無色から淡く濁る程度です。
濁りは成分が微粒子になって光を散らすことで生じます。pHとは別の現象です。
数字だけでは選べない
pHは湯の性格を知る手がかりのひとつですが、それだけで良し悪しは決まりません。
強い酸性泉には強い酸性泉の使い方があり、アルカリ性の湯には長く浸かるという使い方があります。どちらが優れているという話ではありません。
体調と、その日にしたいことで選ぶのが実際的です。湯めぐりをする日に強酸性の湯を三か所回れば、確実に肌が荒れます。





