泊まらずに温泉に入る方法は、一つではありません。
三つの形があり、それぞれ運営が違います。時間も作法も費用も変わるので、混同すると現地で戸惑います。
共同浴場
地元の方が日常的に使っている浴場です。
観光施設ではありません。設備は簡素で、洗い場が最小限か、まったくないこともあります。那須湯本の鹿の湯には洗い場がなく、シャンプーも石鹸も使えません。体を洗う場所ではなく、湯に浸かる場所です。
費用は安く、数百円のことが多くなります。無料の湯もあります。野沢温泉の十三の外湯はすべて無料で、管理しているのは地区の住民です。維持のための賽銭箱が置かれています。
湯が熱いことがあります。飯坂温泉では加水の可否が湯ごとに決まっており、勝手に水を足さないという作法があります。地元の方が守ってきた温度を崩さないためです。
営業時間も休業日も施設ごとに違い、地元向けの運用をしているところが多くあります。
旅館の立ち寄り湯
宿泊客のための湯を、時間を区切って開放しているものです。
受付時間が短くなります。多くは昼から夕方までで、宿泊客のチェックイン前に終わります。繁忙期は休止することもあります。
設備は宿のものなので、共同浴場より整っています。タオルの貸し出しがある場合もあります。
訪れる前に確認してください。「日帰り入浴あり」と書かれていても、その日にやっているとは限りません。
日帰り専用施設
入浴だけを目的とした施設です。
予約なしで入れるのが一般的で、休憩室や食事処を備えていることもあります。滞在時間の制限がある場合とない場合があります。
温泉街の中心に置かれていることが多く、駅から近い場所にあります。
手形という仕組み
複数の宿の湯を巡れる仕組みがあります。
黒川温泉の入湯手形は、一枚で加盟旅館の露天風呂を三か所まで利用できます。宿が客を囲い込まず、街全体で分け合う設計です。
下呂温泉の湯めぐり手形も三か所まで。城崎温泉には宿泊者向けの「ゆめぱ」があり、七つの外湯が無料になります。日帰りでも一日入浴券があります。
各宿に受付時間があるので、回る順番は先に決めておくとよいでしょう。
泊まらないと見られないもの
湯そのものは日帰りでも同じものに入れます。
ただし、時間帯に属するものは泊まらなければ見られません。草津の湯畑は日が落ちると照明が入り、昼の姿とは別物になります。銀山温泉のガス灯や由布院の朝霧も同じです。
渋温泉では、九つの外湯のうち八つが宿泊者専用です。日帰りで入れるのは大湯だけなので、外湯めぐりを目的にするなら泊まるしかありません。
泊まるかどうかは、湯そのものより「その時間帯を見たいか」で決まります。





