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全室から川が見える
月の宿は徳島県勝浦郡上勝町福原平間71-1。勝浦川を見下ろす高台に建っている。
宿はこう書く。「全室、眼下に勝浦川を臨み、川面にうつる月を眺めながら時間を忘れるのも一興」。
月ヶ谷という地名と、月の宿という屋号と、川面の月。名前の付け方が一本に通っている。
総部屋数は16室。館内には温泉、宿泊施設、キャンプ場のほか、売店、宴会場、会議室がある。バンガローも3棟ある。宿というより、町の複合施設に近い構えだ。
車椅子で動ける
この宿が明示していることで、注目しておきたい点がある。
「館内は歩きやすく、車椅子でも安心のバリアフリー設計」。バリアフリータイプの和洋室も1室用意されている。
温泉宿は、段差と階段で成り立っていることが多い。古い建物ほどそうなる。ここは新しく建てたぶん、最初から平らに作られている。
客室についても宿は書いている。「やわらかな陽の光が差し込むお部屋には、温もり溢れる地元の木材と、壁には調湿性に優れた珪藻土を使用しております」。地元の木と土で仕上げてある。
二階の岩風呂は青石
浴場は1階と2階にある。隔日の男女入れ替え制。
2階は阿波の青石を配した岩風呂だ。青石は徳島で採れる緑がかった石で、庭石としても使われる。
宿は「岩風呂にはベンチに座って勝浦川を一望できるスペースもあります」と書いている。湯に浸かるだけでなく、座って川を見る時間が組み込まれている。
各浴場とも主浴槽に気泡湯とジェットがあり、サウナと水風呂を備える。1階は更衣室を挟んで二か所に分かれている。なお檜風呂は令和7年から休止していると宿は告知している。
山から引いてきた冷泉
源泉は宿の足元にはない。
1.5キロ離れた霊山月ヶ谷の岩の亀裂から自然に湧く冷泉を、パイプで運んできている——というのが宿の説明である。
宿が公開している温泉成分表によれば、原泉名は月ヶ谷温泉、泉質はアルカリ性単純硫黄冷鉱泉(低張性アルカリ性冷鉱泉)、泉温は15度。
15度では入れないので、沸かして使う。かけ流しや加水についての記載は見当たらないので、そこは書かれていないこととして扱っておきたい。
弘法大師と薬師如来
この湯には、四国らしい由来がある。宿が伝えている話をそのまま引く。
修行中の弘法大師の前に、霊山月ヶ谷の岩場で薬師如来が姿を現した。この霊水は万病を駆除する薬泉であり、衆生を救うためのものである——そう告げられた大師が、湯のことを人々に伝え広めた。宿はそう記している。
薬師如来は医薬の仏だ。温泉の開湯伝説によく登場する。
上勝町には四国霊場20番札所鶴林寺の奥の院、慈眼寺がある。巡礼の道筋にある土地である。
阿波の食材で組む会席
食事は季節替わりの会席。宿は「季節の素材、地元の素材を使い、彩り豊かで料理長のやさしい心づくしで自慢の逸品です」と書いている。
献立の例に並ぶのは、上勝アメゴの西京焼き、阿波とん豚のしゃぶしゃぶ鍋、アメゴの押寿司、そば米汁、晩茶あんみつ。
アメゴは四国でのアマゴの呼び方だ。そば米汁は祖谷から伝わる徳島の郷土料理。晩茶は上勝の名産で、乳酸発酵させた珍しい茶である。
地元の名前がそのまま献立に出てくる。会席のかたちを借りた、土地の食べ物の紹介になっている。
ゼロ・ウェイストの町で泊まる
上勝町は、ごみを出さない町として知られている。
宿も町の取り組みを紹介している。葉っぱを料理のつまものとして出荷する「彩(いろどり)事業」と、「ゼロ・ウェイスト宣言」。
宿の書き方が率直でいい。ただの山間部の田舎だと思ったなら少し待ってほしい、と読者に呼びかけている。
温泉に入りに来て、町の仕組みを見て帰る。この宿の泊まり方には、そういう副産物が付いてくる。
道幅に注意
行き方について、宿が出している注意がある。
県道16号は上勝町役場を過ぎると道幅が狭くなるので十分に注意してほしい、と宿は書いている。
徳島市から南東へ車で約1時間。大阪から約3時間、高松から約2時間30分。
バスで来る場合は乗り換えが一度入る。徳島駅前バスターミナルで徳島バスの横瀬行きに乗り、横瀬西で上勝町営バスに乗り継いで月ヶ谷温泉口へ。そこから徒歩5分。町営バスの本数は多くないので、帰りの便まで含めて先に調べておきたい。
月ヶ谷温泉 月の宿のよくある質問
Qお風呂はどうなっていますか
浴場は1階と2階にあり、隔日の男女入れ替え制です。宿は「2階は青石を配した岩風呂です」「岩風呂にはベンチに座って勝浦川を一望できるスペースもあります」と書いています。各浴場とも主浴槽に気泡湯とジェットを設置し、サウナと水風呂があります。1階は更衣室を挟んで二か所に分かれており、檜風呂は令和7年から休止していると宿は告知しています。
Q泉質は何ですか
宿が公開している温泉成分表によると、原泉名は月ヶ谷温泉、泉質はアルカリ性単純硫黄冷鉱泉(低張性アルカリ性冷鉱泉)、泉温は15度です。冷鉱泉なので沸かして使います。かけ流しや加水についての記載は見当たりません。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Qバリアフリーですか
宿は「館内は歩きやすく、車椅子でも安心のバリアフリー設計」と書いており、バリアフリータイプの和洋室が1室あると案内しています。温泉宿でここまで明示している例は多くありません。
Q日帰りで入れますか
入れます。宿は温泉入浴料金として大人(中学生以上)と小人(3歳から小学生)の区分を掲げています。大人の料金には上勝町の条例による入湯税が含まれます。なお県の条例により7歳以上の子どもの混浴は禁止されています。
Qキャンプ場やバンガローもあるのですか
あります。宿は「当施設には温泉・宿泊施設・キャンプ場の他、館内に売店・宴会場・会議室がございます」と書いています。バンガローは月の宿新館に隣接して3棟あり、室内は中2階建てで1階に2つ、ロフトに2つのベッドがあり、定員は最大6名です。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

岩井温泉 浪漫伝承の宿 明石家
鳥取県創業400年と宿は書いている創業400年と宿が書く岩井温泉の18室の宿。約48度の源泉を何も足さずに湯船へ入れる。総ヒノキの男女別浴室、佐治石を使った庭園露天風呂、貸切露天風呂「森の方舟」と貸切サウナがある。岩美駅から送迎あり。

武田尾温泉 紅葉舘 別庭 あざれ
兵庫県武田尾温泉の12室の宿。武庫川の渓谷沿いに全室一戸建ての離れが並び、どの部屋にも源泉かけ流しの半露天風呂が付く。大浴場「かわせみの湯」「やませみの湯」にも源泉かけ流しの露天風呂がある。泊食分離で、食事は茶寮「心」。武田尾駅から徒歩5分。

奥飛騨百姓座敷の宿 藤屋
岐阜県岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根、新平湯温泉のほぼ中央に建つ宿。築二百年の百姓座敷は移築ではなく、実際に百姓座敷として使っていた建物をそのまま使っていると公式サイトは書く。日本源泉湯宿を守る会に提出した調査表では加水も加温も循環もなしと開示している。源泉は一重ケ根温泉1号泉、湧出地の泉温130度を低温泉と混ぜて調整している。貸切露天が二つ、24時間無料。
※ 料金・空室・設備・営業状況は変わります。当サイトが掲載しているのは創業年や建築など変わりにくい情報のみです。 最新の情報は予約サイト、または公式サイトでご確認ください。
