「源泉数日本一」「湧出量日本一」。温泉地の看板でよく見かける表示です。
何を数えた数字なのかが分かると、その温泉地の性格も見えてきます。
源泉数は井戸の数
源泉数は、湯が湧き出ている地点の数です。
環境省が毎年、温泉の利用状況を統計として公表しています。都道府県では大分県、市町村では別府市が最も多いとされています。
数が多いということは、地下の通り道が多いということです。深さや経路が違えば、溶け込む成分も変わります。別府八湯のように、ひとつの市内で泉質が分かれるのはこのためです。
湧出量は湯の量
湧出量は、一分間あたりに湧き出る湯の量です。リットル毎分で表されます。
源泉数とは別の指標になります。源泉の数が少なくても、一本あたりの湧出量が大きいことがある。逆に源泉は多くても、それぞれの量は小さいということもあります。
自然湧出と掘削
湧出量には、汲み上げ方の違いも関わります。
ポンプで汲み上げず、地下の圧力だけで自噴している湯を自然湧出といいます。草津温泉は自然湧出量が日本有数とされています。
掘削してポンプで汲み上げている源泉も、湧出量としては数えられます。看板の数字を見るときは、自然湧出に限った数字なのかどうかで意味が変わります。
量が多いと何が変わるか
湧出量が多い温泉地では、湯を惜しまず使えます。
浴槽から常に湯があふれる形を保ちやすくなり、源泉かけ流しが成立しやすい。逆に量が限られる土地では、循環や加水を組み合わせて浴槽を維持することになります。
湧出量の多さは、湯の使い方の自由度につながっています。
数字だけでは決まらない
とはいえ、源泉数や湧出量の多さがそのまま湯の良し悪しになるわけではありません。
一本の源泉を大切に使っている宿の湯が、数の多い温泉地の湯より印象に残ることはあります。数字は温泉地の規模と地質を示すもので、体感の指標ではありません。




