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国立公園の中の一軒宿
後生掛温泉は秋田県鹿角市八幡平字熊沢国有林内。住所に「国有林内」と入る宿はそう多くない。十和田八幡平国立公園のただ中にある。
旅館部は全18室。ほかに湯治部があるが、こちらは期間限定・不定期の営業になっている。
古くからこの湯を言い表してきた句がある。「馬で来て 足駄で帰る 後生掛」。宿の解説では、心身の不調から馬の背に揺られて来た人も、ここの湯にしばし浸かって療養すれば、帰りは高下駄を履いて山道を下るほど平癒する、という意味になる。開湯は三百余年。
九十三度の源泉を加水だけで
源泉はオナメ・モトメの湯。泉温93.4度、pH3.01の単純硫黄泉で、宿は「低張性・弱酸性・高温泉」と正確に書く。自然湧出のため湧出量は不明としている。
93.4度をどう扱うかが問題になる。宿の答えは明快で、大小浴場・全浴槽ともに100パーセント源泉かけ流し、温度調節のための加水のみ、というものだ。循環も加温もしない。源泉は全浴槽で共通。
泥成分が多いので、湯は灰白色に濁る。メイン浴槽の神経痛の湯について、宿は「より源泉に近い雰囲気を感じて頂けるよう加水は控え目の熱め・濃いめのお湯」と説明している。短時間でも体が温まる、と。
効き方は人によるから、気になることは医師に確かめてから入りたい。
総木造りに七つの湯
大浴場は山小屋をモチーフにした総木造。天井が高く、広い。その中に七つの浴槽が並ぶ。
火山風呂は火山のように激しく気泡が噴き出す。宿は、気泡が肌に絡みついて新陳代謝を促すとし、やさしく温めるために浴槽の温度を若干ぬるめに調整していると書く。
泥湯は箱の中の泥を手に取って肌になじませ、10分から15分の半身浴。こちらもぬるめの調整だ。源泉の濃い泥なので、肌の敏感な人はまず短時間から、と注意がある。
打たせ湯は豊富に流れ落ちる湯で肩・腰・頭部のコリをほぐす。蒸気サウナは天然蒸気を使うので温度が変動する。露天風呂は小ぶりだが四季の彩りが見える。
箱に入って首だけ出す
七つのうち、いちばん珍しいのが箱蒸し風呂だ。
木箱の中に天然蒸気が噴き出していて、そこに入って首だけ出す。宿は「首から上に直接蒸気が当たらない為のぼせにくく、気持ちよく汗をかくことができます」と説明する。備え付けの板を敷いて高さを調整して使う。
後生掛伝統の入浴法とされていて、他所ではまず見ない。
ぶなの湯を貸し切る
旅館本館には宿泊者専用の小浴場「ぶなの湯」がある。3〜4名で使えるこじんまりした男女別の内湯で、もちろん源泉かけ流し。
これを15時・16時・17時の三枠で貸切にできる。1回45分、有料・予約制で、HPか電話で事前予約もできる。七つの湯を回ったあと、静かに締めるにはちょうどいい。
床が温かい部屋
この宿のもう一つの名物がオンドルだ。
付近一帯の火山活動で生じる天然地熱や蒸気を、直接または木樋で床下に通して部屋を床から温める。室内は通年で30度以上。宿は「横になっているだけで入浴に近い効果を長時間得られ」ると書く。
専用の作務衣に着替え、バスタオルを敷いて横になる。通常30分から1時間。長めに入る人は水分補給を、という注意もある。終わったら大浴場で汗を流す。
湯治部の営業は期間限定・不定期なので、オンドルを目当てにするなら営業予定を確かめてから向かいたい。
選ぶ理由
93.4度の源泉を加水だけで使う七つの湯、箱蒸し、泥湯、オンドル。温泉の「効かせ方」をこれだけ揃えている宿は国内でも数えるほどだ。
新館の客室は大浴場まで階段移動が多いと宿自身が断っているので、足元に不安がある人は本館を選ぶといい。冬は八幡平アスピーテラインが閉鎖されるため、行ける季節と道が限られる。出かける前に道路情報も見ておきたい。
後生掛温泉のよくある質問
Q温泉の泉質は?
宿は源泉名をオナメ・モトメの湯、泉質を単純硫黄泉(低張性・弱酸性・高温泉)、泉温93.4度、pH3.01(弱酸性)と案内しています。湧出量は自然湧出のため不明としています。大小浴場・全浴槽ともに100パーセント源泉かけ流しで、温度調節のための加水のみ行い、源泉は共通だと明記しています。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Q七つの湯を教えてください。
メイン浴槽の「神経痛の湯」、気泡が噴き出す「火山風呂」、天然蒸気の「箱蒸し風呂」、泥を肌になじませる「泥湯」、天然蒸気の「蒸気サウナ」、コリをほぐす「打たせ湯」、そして「露天風呂」です。大浴場は山小屋をモチーフにした総木造で天井が高いと宿は書いています。露天は冬季に落雪等の危険防止のためクローズすることがあります。
Q貸切風呂はありますか?
あります。旅館本館にある宿泊者専用の小浴場「ぶなの湯」を、15時・16時・17時の三つの時間枠で貸切利用できます(有料・予約制、1回45分)。3〜4名で使えるこじんまりした男女別の内湯で、こちらも源泉かけ流しです。
Qオンドルとは何ですか?
宿は、火山活動による天然地熱や蒸気を直接または木樋で床下に通して部屋を床から温める仕組みを後生掛式オンドルと呼んでいます。室内は通年で30度以上。作務衣に着替えてバスタオルを敷いて横になり、通常30分から1時間ほど過ごします。終わったら大浴場で汗を流すのがすすめだとしています。湯治部は期間限定・不定期の営業です。
Q日帰り入浴はできますか?
できます。2026年のグリーンシーズン(4月15日から11月16日)の案内では、日帰り入浴が10時30分から14時最終受付(15時終了)、火曜定休です。カフェは11時30分から13時ラストオーダー、売店は10時30分から17時。臨時休館もあるので、行く前に公式サイトで確かめてください。
Q客室について教えてください。
旅館部は全18室です。新館は5室のみで、和室(8〜15畳)と和洋室。本館にも客室があります。宿は「新館客室は大浴場まで少々距離があり階段移動が多くございます。ご年配や足にご不安のあるお客様には本館客室をおすすめしております」と案内しています。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

岩井温泉 浪漫伝承の宿 明石家
鳥取県創業400年と宿は書いている創業400年と宿が書く岩井温泉の18室の宿。約48度の源泉を何も足さずに湯船へ入れる。総ヒノキの男女別浴室、佐治石を使った庭園露天風呂、貸切露天風呂「森の方舟」と貸切サウナがある。岩美駅から送迎あり。

奥飛騨百姓座敷の宿 藤屋
岐阜県岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根、新平湯温泉のほぼ中央に建つ宿。築二百年の百姓座敷は移築ではなく、実際に百姓座敷として使っていた建物をそのまま使っていると公式サイトは書く。日本源泉湯宿を守る会に提出した調査表では加水も加温も循環もなしと開示している。源泉は一重ケ根温泉1号泉、湧出地の泉温130度を低温泉と混ぜて調整している。貸切露天が二つ、24時間無料。

壁湯天然洞窟温泉旅館 福元屋
大分県大分県玖珠郡九重町大字町田62-1、壁湯温泉の一軒宿。町田川の岸の岩壁にできた洞窟が、そのまま浴槽になっている。宿は300年以上前から自噴していると書く。日本秘湯を守る会の会員で、登録情報では泉質は単純温泉、源泉温度39度、湧出量は毎分1370リットル、加温は貸切湯のみ一部。浴場は五つ。客室は8室から9室の小さな宿で、日帰り入浴も受ける。
※ 料金・空室・設備・営業状況は変わります。当サイトが掲載しているのは創業年や建築など変わりにくい情報のみです。 最新の情報は予約サイト、または公式サイトでご確認ください。
