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馬で来て、足駄で帰る
後生掛温泉は秋田県鹿角市八幡平、熊沢国有林の中にある。十和田八幡平国立公園のただ中で、周りに町はない。一軒宿である。
古くからこの湯を言い表す句がある。「馬で来て 足駄で帰る 後生掛」。宿はこう解説する。心身の不調から馬の背に揺られて来た人も、後生掛の湯にしばし浸かり療養すれば、帰りは足駄(高下駄)を履いて山道を下るほど平癒する——。
開湯は三百余年。湯治の湯として続いてきた。
九十三度で湧く
源泉の名は「オナメ・モトメの湯」。泉質は単純硫黄泉(低張性・弱酸性・高温泉)、泉温93.4度、pHは3.01の弱酸性と宿は載せる。自然湧出なので湧出量は不明としている。
93.4度というのは、そのままでは入れない温度だ。宿は温度調節のための加水だけを行い、大小浴場・全浴槽ともに100パーセント源泉かけ流しにしていると明記する。
湯は灰白色に濁る。硫黄と泥の成分による色だ。メイン浴槽の「神経痛の湯」について、宿は「より源泉に近い雰囲気を感じて頂けるよう加水は控え目の熱め・濃いめ」と書いている。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてから入りたい。
七つの湯
大浴場は山小屋をモチーフにした総木造で、天井が高い。その中に七つの湯が並ぶ。
神経痛の湯は広いメイン浴槽。火山風呂は火山のように気泡が噴き出し、浴槽の温度はやや低めに調整してある。打たせ湯は肩や腰、頭部のコリをほぐす。
泥湯は箱の中の泥を手に取って肌になじませ、10分から15分ほど半身浴する。源泉の濃い泥なので、肌の敏感な人は短時間から試すようにと宿は注意している。
蒸気サウナは天然蒸気を使う。温度は自然まかせで変動する。露天風呂は小ぶりだが、新緑から紅葉、雪景色まで四季が見える。冬は落雪の危険で閉じることがある。
そして箱蒸し風呂。木箱に入って首だけ出す、後生掛伝統の入浴法だ。
床から温めるオンドル
この温泉地のもう一つの名物がオンドルである。
宿の説明では、付近一帯の活発な火山活動により生ずる豊富な天然地熱や蒸気を、直接または木樋などで床下に通すことで部屋を床から温める仕組み。室内は通年で30度以上になる。
作務衣に着替え、バスタオルを敷いて横になる。通常30分から1時間。宿は「横になっているだけで入浴に近い効果を長時間得られ」ると書く。終わったら大浴場で汗を流す。
湯治部は期間限定・不定期の営業になっているので、オンドル目当てなら営業日を確かめてから向かいたい。
玉川温泉とは別
同じ秋田県の八幡平にある玉川温泉とは別の温泉である。玉川は日本一の酸性度で知られる強酸性の湯、後生掛はpH3.01の弱酸性で泥の濁り湯。どちらも湯治場として知られ、車で30分ほどの距離にある。両方回る人も多い。
湯以外の見どころ
宿のすぐ裏に後生掛自然研究路がある。泥火山、泥壺、噴気孔が並び、地面から蒸気が上がる。一周40分ほどの木道で、日本でこれだけ間近に火山活動を見られる場所は多くない。
八幡平の山頂までは車で上がれる。鏡沼の「ドラゴンアイ」は雪解けの時期だけ現れる。大沼のほとりには湿原の遊歩道がある。
着くまで
車なら東北自動車道の鹿角八幡平ICから40分ほど。ただし八幡平アスピーテラインは冬期閉鎖になるので、季節によって行ける道が変わる。
公共交通はJR花輪線の鹿角花輪駅からバスになるが、便が限られる。宿が公共交通機関のアクセス案内を随時更新しているので、電車で行くならそれを見てから動きたい。
後生掛温泉の日帰り入浴
- 後生掛自然研究路(泥火山)
- 八幡平山頂と鏡沼
- 大沼
八幡平アスピーテラインは冬期閉鎖。開通時期を確かめてから向かってください。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
93.4℃高温泉
2060100℃
3.01弱酸性
0 酸性7アルカリ性 14
秋・夏
- 所在地Location
- 秋田県
- 泉質Spring Quality
- 硫黄泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR花輪線 鹿角花輪駅(バス)/東北道 鹿角八幡平IC(車約40分)※冬期は八幡平アスピーテラインが閉鎖
- 東京からFrom Tokyo
- 約5時間
- 大阪からFrom Osaka
- 約8時間
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
後生掛温泉のよくある質問
Q後生掛温泉の泉質は?
宿は源泉名をオナメ・モトメの湯、泉質を単純硫黄泉(低張性・弱酸性・高温泉)、泉温93.4度、pH3.01と案内しています。泥成分が多いため灰白色のにごり湯です。大小浴場・全浴槽ともに100パーセント源泉かけ流しで、温度調節のための加水のみ行うと明記しています。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Q七つの湯とは何ですか?
総木造りの大浴場にある七種類の浴槽のことです。メイン浴槽の「神経痛の湯」、気泡が噴き出す「火山風呂」、天然蒸気を使う「箱蒸し風呂」、泥を肌になじませる「泥湯」、天然蒸気の「蒸気サウナ」、肩や腰をほぐす「打たせ湯」、そして「露天風呂」。宿は「心ゆくまで湯めぐりを」と案内しています。
Q箱蒸し風呂とはどんなものですか?
宿は後生掛伝統の入浴法だと説明しています。木箱の中に天然蒸気が噴き出していて、首だけ出して温まります。首から上に直接蒸気が当たらないのでのぼせにくく、気持ちよく汗をかけるとしています。備え付けの板を敷いて高さを調整して使います。
Qオンドルとは何ですか?
宿は、付近一帯の活発な火山活動で生じる天然地熱や蒸気を、直接または木樋で床下に通して部屋を床から温める仕組みを後生掛式オンドルと呼んでいます。室内は通年で30度以上。作務衣に着替えてバスタオルを敷いて横になり、通常30分から1時間ほど過ごすと案内しています。湯治部は期間限定・不定期での営業です。
Q日帰り入浴はできますか?
できます。2026年のグリーンシーズン(4月15日から11月16日)の案内では、日帰り入浴が10時30分から14時最終受付(15時終了)、火曜定休です。冬期は八幡平アスピーテラインが閉鎖されるため、季節によって行き方も営業も変わります。行く前に公式サイトで確かめてください。
ほかの温泉地と比べる
UPDATED 2026.09.23



