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海から出た湯
氷見温泉郷は富山県氷見市。能登半島の東の付け根にあたる海沿いの町だ。
氷見市観光協会は、この湯の成り立ちを地質から説明している。
「800から1300メートルのボーリングにより得られ、温度は50℃前後、泉質はナトリウム‐塩化物泉で、火山爆発の噴流物堆積により閉じ込められた約1500年前の海水(化石塩水と呼ぶ)のためしょっぱいのが特徴です」。
化石塩水、という言い方をする。1500年前の海が地下に閉じ込められたまま残っている。それを掘り当てている。
海のそばで塩辛い湯が出る温泉地は全国にあるが、成り立ちをここまで具体的に書いている自治体は多くない。
温泉街のない温泉地
氷見温泉郷は、ひとつの温泉街を指す名前ではない。
氷見市観光協会は「氷見市内には、この温泉が沿岸北部を主に点在しており、それを総称して『能登半島国定公園 氷見温泉郷(ひみおんせんきょう)』と呼びます」と書いている。
温泉旅館・民宿が約15軒、収容は約1300人。
宿が海沿いの道に沿って散らばっている。歩いて外湯をめぐる、という形ではない。どの宿に泊まるかで、見える景色も過ごし方も変わる。
民宿が多いのもこの土地の特徴だ。漁師の町なので、魚を出す宿が並ぶ。
富山湾の向こうの三千メートル
氷見の海沿いから東を見ると、富山湾の向こうに立山連峰が並ぶ。
海越しに3000メートル級の山を見る場所は世界的にも珍しい。海岸線から山頂までの距離が短く、湾を挟んで正面に立ち上がって見える。
風呂からこの眺めが見える宿がある。宿の側もそれを前面に出す。
ただし、いつでも見えるわけではない。霞む日が多く、夏は特に見えにくい。冬のよく晴れた朝がいちばん条件がいい。
見えなかったときのために、雨晴海岸まで足を延ばすという手もある。氷見線で数駅、同じ眺めで知られる場所だ。
美人になる湯
氷見市観光協会は効能として切り傷、火傷、慢性皮膚病、慢性婦人病などを挙げ、こう続けている。
「ナトリウム‐塩化物泉という泉質が『美人になる湯』として、特に女性客に好評です」。
塩化物泉は、塩分が肌に膜を作って熱を逃しにくくする。湯冷めしにくい湯だ。冬の日本海側の温泉地には向いている。
効き方は人によるので、そこは案内として読んでほしい。
冬に行く理由
氷見は冬の町である。
寒ブリが上がるのが例年11月から2月ごろ。氷見のブリは全国に知られていて、この時期に宿を取る人が多い。
同じ時期が、立山連峰のいちばん見えやすい季節でもある。雪をかぶった山が海の向こうに並ぶ。
塩辛くて湯冷めしにくい湯に入り、魚を食べ、朝に山を見る。冬の氷見はその三つで説明がつく。
ただし漁は年によって差が大きい。寒ブリが目当てなら、プランに何が入っているかを予約時に確かめたほうがいい。
富山県の温泉のなかで
氷見市観光協会は、富山県の温泉の分け方も書いている。
県内には149か所(平成11年3月末現在)の温泉があり、花崗岩帯、火山帯、片麻岩帯、丘陵地帯の四つから出るものに分けられる。そのうち七割が富山平野を囲む丘陵地帯から出ていて、氷見の温泉もこれに属する。
つまり富山の温泉の多数派は、山の噴気でも火山でもなく、平野を囲む丘から掘って出すものだということだ。
宇奈月のように黒部峡谷から引く湯もあれば、氷見のように1500年前の海水を掘り当てる湯もある。同じ県でも、湯の来歴がまるで違う。
着くまで
鉄道ならJR氷見線の氷見駅。高岡駅から30分ほどだ。ただし宿は海沿いに点在しているので、駅から車で5分から15分ほどかかる。送迎の有無を予約時に確かめたい。
車なら能越自動車道の氷見ICか灘浦IC。北陸自動車道からは小杉ICや高岡砺波スマートICを使う。
新幹線で来るなら新高岡駅が近い。そこから氷見線に乗り換えるか、車で30分ほど。
金沢からも富山からも1時間前後で、北陸を回る途中に一泊を入れやすい位置にある。
氷見温泉郷の日帰り入浴
- ひみ番屋街
- 雨晴海岸
- 氷見市藤子不二雄Ⓐアートコレクション
雨晴海岸は富山湾越しの立山連峰で知られる。氷見から氷見線で数駅の距離にある。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
冬・秋
- 所在地Location
- 富山県
- 泉質Spring Quality
- 塩化物泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR氷見線 氷見駅(宿により車約5〜15分)/能越道 氷見IC・灘浦IC
- 東京からFrom Tokyo
- 約3時間30分
- 大阪からFrom Osaka
- 約4時間
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
氷見温泉郷のよくある質問
Q氷見温泉郷とはどこを指しますか
氷見市の沿岸北部を中心に点在する温泉の総称です。氷見市観光協会は「能登半島国定公園 氷見温泉郷(ひみおんせんきょう)」と呼び、温泉旅館・民宿が約15軒、約1300人収容と案内しています。ひとつの温泉街があるのではなく、宿が海沿いに散らばっている形です。
Qどうしてしょっぱいのですか
元が海水だからです。氷見市観光協会はこう説明しています。「火山爆発の噴流物堆積により閉じ込められた約1500年前の海水(化石塩水と呼ぶ)のためしょっぱいのが特徴です」。地下800から1300メートルのボーリングで得られ、温度は50度前後、泉質はナトリウム-塩化物泉としています。
Q効能を教えてください
氷見市観光協会は切り傷、火傷、慢性皮膚病、慢性婦人病などを挙げ、ナトリウム-塩化物泉という泉質が「美人になる湯」として特に女性客に好評だとしています。効き方は人によるので、体のことで気になることがあれば医師に確かめてください。
Q立山連峰は本当に見えますか
晴れた日には見えます。富山湾の向こうに3000メートル級の山が並ぶ眺めで、海越しに高い山を見る場所は世界的にも多くありません。ただし霞む日も多く、特に夏場は見えにくくなります。冬の晴れた朝がいちばん条件がいいとされます。
Q日帰り入浴はできますか
できる宿があります。氷見市観光協会は日帰り入浴のできる宿・施設を一覧で案内しています。氷見漁港場外市場ひみ番屋街にも温泉施設があります。営業時間は施設によって違うので、行く前に確かめてください。
Q寒ブリはいつですか
例年11月から2月ごろです。氷見のブリは全国的に知られていますが、漁の状況によって年ごとに差があります。宿の食事に出るかどうかはプランと時期によるので、予約時に確かめてください。
ほかの温泉地と比べる
氷見温泉郷の宿

氷見温泉郷 魚巡りの宿 永芳閣
富山湾に面した50室の宿。庭園越しに日本海と立山連峰を望む二つの露天風呂があり、毎日男湯と女湯を入れ替える。貸切家族風呂も二つある。氷見駅から車で10分、無料送迎あり。

氷見温泉郷 くつろぎの宿 うみあかり
富山県氷見市宇波、灘浦海岸に建つ45室の宿。自家源泉を二本持ち、岩井戸温泉1号井は56.8度の高張性、2号井は52.2度の等張性と公式サイトは公開している。展望大浴場の露天から富山湾が広がり、晴れた日には海越しに立山連峰からの日の出が見える。徒歩3分の別館「潮の香亭」は元湯の岩風呂で、宿はここを源泉かけ流しとし、入浴のみでも使える。JR氷見駅から車で15分。
UPDATED 2026.09.25


