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川底の浴槽から
浜屋旅館は、川古温泉のただ一軒の宿である。赤谷川の渓谷に建つ。
この宿が使っている源泉は「浜屋の湯」という。昭和62年のボーリングで得たもので、いまは毎分700リットルほどが出ている。泉温39.9度、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉、pH8.0。
それ以前は川原に湧いていた湯を、川底に浴槽を切って使っていたと宿は書いている。宿の湯の歴史が、そのまま川との付き合いの歴史になっている。
12室。標高600メートルほどの山中にある。
空気に触れさせない
この宿の湯の扱い方には、はっきりした方針がある。
各浴槽には源泉を直接入れている、と宿は書く。しかも途中で空気に当てない造りにしてあるという。
理由は湯に溶けているものを逃がさないためで、その結果、入っていると体に細かい泡がたくさんつく。宿はこれをもともとの特徴だとしている。
ただし露天では泡があまり見えないとも宿は断っている。泡を確かめたいなら内湯に入るとよい。
37度に長く入る
浴槽の温度が37度から38度というのは、体温とほぼ同じということである。
入っても熱くない。だから何時間でもいられる。宿はこれを持続浴と呼び、湯治の基本に置いている。
とはいえ最初から長く入るのは勧めていない。慣れないうちは一日あたり二、三時間から、というのが宿の言い方である。浴場は清掃の時間を除けば昼夜なく使える。
熱い湯に短く入って温まるのとは、目的が違う。体を温めるのではなく、体を湯に慣らす時間を取る。そういう入り方のための温度である。
杖をすてる
「川古みやげは一つ杖をすて」という言い回しを、宿は自分の看板に掲げている。杖をついて来た人が置いて帰る、という意味である。
宿が湯治について書いていることのなかで印象に残るのは、治すための場所だとは言っていない点だ。日常から離れ、生体のバランスを戻していく時間だという位置づけになっている。
効き方は人による。体のことで気がかりがあるなら、行く前に医師に確かめておきたい。
湯治の作法
宿は湯治客向けの案内を細かく書いている。
客室にはバスタオル、浴衣、半纏、丹前が用意され、汚れたら交換してもらえる。洗濯したい場合は混浴の浴場にある洗濯機を自由に使ってよい。布団は最初の日に敷いて、あとは緊急時以外、宿の人が部屋に入ることはない。
食事は量を少なめにして、バランスの取れたものを心がけているという。朝食8時、昼食12時、夕食18時。一般の宿泊客の夕食は18時30分からである。
川魚や季節の山菜、ジビエといった山の幸が中心になる。
浴室の構成
内風呂が男女それぞれにある。女性専用の露天風呂がある。混浴のぬる湯の内風呂と、混浴の露天風呂がある。
混浴があるので、抵抗がある場合は女性専用の浴室を使うことになる。宿は水着での入浴は遠慮してほしいとしている。
入浴の前には必ずかけ湯をするか体を洗うこと、タオルを浴槽に入れないこと、酒を飲んでの入浴は避けること。宿が明記している注意である。
着くまで
JR上毛高原駅から猿ヶ京行きのバスに乗り、終点で下りて車で15分。駐車場は10台、無料、予約不要。
山の中である。滞在中は過ごしやすい服装でよいと宿は言うが、羽織るものは一枚余分に入れておいたほうがいい。夏以外は夜が冷える。
この宿を選ぶなら
観光の拠点として使う宿ではない。周りに店はなく、温泉街もない。
選ぶ理由は、37度の湯に何時間でも入れることに尽きる。2泊以上できるなら湯治プランがある。一泊では、この湯の性格を受け取りきれないかもしれない。
川古温泉 浜屋旅館のよくある質問
Q浜屋旅館の湯はかけ流しですか?
宿は、源泉から直接掛け流しており、空気に触れることなく各浴槽へ供給していると書いています。各浴槽には源泉を直接入れており、ぬる湯については投入量を調整して浴槽内で37度から38度を保つとしています。
Q湯治はどのくらい泊まるものですか?
宿は、本来の湯治は7日から10日程度の温泉療養が必要だとしたうえで、まとまった時間が取れないなら2日、3日から試してほしいと書いています。2泊以上なら湯治プランを勧めています。
Q浴室はどうなっていますか?
内風呂が男女それぞれにあり、女性専用の露天風呂、混浴のぬる湯の内風呂と露天風呂があります。浴場は清掃時を除いて24時間使えます。水着での入浴は遠慮してほしいと宿は書いています。
Qアクセスは?
上毛高原駅からバスで猿ヶ京まで行き、そこから車で15分です。終点からは宿に相談してください。駐車場は10台分あり、無料で予約も要りません。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

岩井温泉 浪漫伝承の宿 明石家
鳥取県創業400年と宿は書いている創業400年と宿が書く岩井温泉の18室の宿。約48度の源泉を何も足さずに湯船へ入れる。総ヒノキの男女別浴室、佐治石を使った庭園露天風呂、貸切露天風呂「森の方舟」と貸切サウナがある。岩美駅から送迎あり。

武田尾温泉 紅葉舘 別庭 あざれ
兵庫県武田尾温泉の12室の宿。武庫川の渓谷沿いに全室一戸建ての離れが並び、どの部屋にも源泉かけ流しの半露天風呂が付く。大浴場「かわせみの湯」「やませみの湯」にも源泉かけ流しの露天風呂がある。泊食分離で、食事は茶寮「心」。武田尾駅から徒歩5分。

西伊豆 土肥温泉 無雙庵 枇杷
静岡県土肥の入り江と駿河湾を見下ろす小高い山の中腹に、古民家の木材を使った離れが8棟並ぶ宿。全棟に源泉かけ流しの露天風呂が付き、テラスから駿河湾の夕日を見る。建物の最高所に無料の貸切露天風呂が2つ。山の頂上までの6,000坪の森が敷地で、春はタケノコ、初夏はビワが採れる。
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