「温泉」と名乗れる条件と、泉質名が付く条件は別です。
このずれが、掲示を読むときの分かりにくさになっています。
温泉と名乗れる条件
温泉法では、地中から湧出する温水・鉱水・水蒸気などのうち、次のいずれかを満たすものを温泉としています。
一つは温度です。源泉の温度が25度以上あれば、成分に関係なく温泉になります。
もう一つは成分です。25度未満でも、定められた成分のいずれかが規定量以上含まれていれば温泉として扱われます。
つまり、温度さえあれば成分がほとんどなくても温泉です。
療養泉の条件
療養泉は、そのなかでさらに条件を満たしたものです。
温度が25度以上あること、または定められた成分が規定量以上含まれていること。この基準を満たすと、泉質名が付きます。
泉質名は10種類あります。単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉。
掲示に泉質名が書かれていない場合、温泉ではあるが療養泉の基準は満たしていないということになります。
単純温泉は「薄い」ではない
単純温泉は、成分の総量が規定に満たないものを指します。
薄いから効かない、という意味ではありません。刺激が少なく、長く浸かっていられるという性格になります。
道後温泉、箱根湯本、由布院。いずれも単純温泉が中心ですが、湯の評価が低いわけではありません。道後は加温も加水もせず自噴の湯を使い、由布院は源泉数が全国2位です。
湯に慣れていない人を連れて行くなら、むしろ扱いやすい湯です。
複数の性質を持つ湯
一つの湯が一つの泉質とは限りません。
有馬温泉の金泉は含鉄・ナトリウム塩化物泉で、鉄と塩の両方の性質を持ちます。乳頭温泉郷は硫黄泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉が宿ごとに分かれています。
分析書には正式な泉質名が長い形で書かれています。前半が陽イオン、後半が陰イオンで、含まれる量の多い順に並びます。読み方は分析書の項で詳しく扱います。
適応症という書き方
掲示には「適応症」として症状が並んでいます。
これは泉質ごとに定められた一般的なものです。個々の湯の効果を証明したものではありません。当サイトでも効能として記載していますが、効果を保証するものではないと明記しています。
放射能泉の三朝温泉のように、医学的な研究が行われてきた温泉地もあります。ただしそれも、その湯を万人に推奨する根拠にはなりません。
体調に不安がある場合は、入る前に医師に相談してください。
参考
環境省「温泉の保護と利用」(鉱泉分析法指針・掲示基準の掲載元)





