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四万川に赤い橋が架かっている。その向こうに木造の建物が立っている。積善館の写真としてまず出てくるのがこの構図で、実際に橋の手前に立つと、写真より建物が近い。
三つの時代を歩く
積善館は本館、山荘、佳松亭という三つの棟からなる。
本館は元禄期の建築とされ、現存する日本最古級の温泉宿建築と言われる。群馬県の指定重要文化財。山荘は昭和初期の木造建築で、国の登録有形文化財。佳松亭は後年に建てられた。
棟の間はトンネルと階段でつながっている。歩いて移動すると、江戸から昭和、そして現代へと建築が切り替わっていくのが分かる。同じ宿の中で三百年ぶんの時間を横切ることになる。
元禄の湯
山荘に併設された大浴場が元禄の湯である。昭和5年の建築。
扉を開けると、天井の高い広い空間にアーチ窓が並んでいる。床には五つの石造りの浴槽が埋め込まれていて、湯気が窓のほうへ流れていく。大正から昭和にかけての西洋建築の影響が入った浴室で、当時としては相当に斬新だったはずだ。
今見ても、他に似たものがない。温泉に入りに来たはずが、建築を見に来たような気持ちになる。
日帰り入浴も受け入れている。宿泊しなくてもこの浴室には入れる。
四万の湯
塩化物・硫酸塩泉。無色透明で刺激が少ない。草津のような分かりやすい強さはないが、長く浸かっていられる。
四万は国民保養温泉地の第一号に指定された土地で、療養と静養を旨としてきた。歓楽街をつくらなかったぶん、夜は静かだ。
着くまで
JR吾妻線の中之条駅からバスでおよそ40分。東京からは高速バスも運行している。
温泉街は四万川に沿って細長く伸びており、端から端まで歩くとそれなりの距離になる。宿の位置を先に確かめておきたい。
草津温泉までは車で一時間ほど。伊香保も同じ範囲にある。
この宿を選ぶなら
建物に泊まりたい方に向く。どの棟に泊まるかで体験がまったく違うので、予約の前に棟を選びたい。本館は江戸期の湯治宿の造りをそのまま残しており、設備は現代のホテルとは違う。
温泉街から車で上がれば奥四万湖がある。四万ブルーと呼ばれる青は、晴れた日の午前が最もよく見える。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

白骨温泉 泡の湯
長野県白濁湯をたたえた大露天風呂で知られる山中の宿。湧出したままの温度で入れる、ぬるい源泉風呂を持つ。

法師温泉 長寿館
群馬県1875年(明治8年)創業三国峠の麓、法師温泉にただ一軒建つ宿。明治8年に岡村貢が湯小屋を整えて創業し、明治28年築の大浴場「法師乃湯」は浴槽の底の玉石の間から湯が湧く。本館・法師乃湯・別館の三棟が2006年に国の登録有形文化財となった。与謝野晶子、川端康成、若山牧水が滞在。フルムーンのポスターの湯。

鉛温泉 藤三旅館
岩手県1786年立ったまま入る深さ1.25メートルの「白猿の湯」を持つ宿。総けやき造りの本館に四つの浴場があり、宿は源泉5本を加熱も加水も循環もせずに使うと書く。旅館部と自炊の湯治部が同じ建物にあり、湯治の形が今も生きている。32室。
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