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循環加温している、と書く宿
まつさきの公式サイトを読んでいて、いちばん目を引くのはこの一文だ。
「当館は源泉100%ですが、泉温は36.5度とやや低いため、循環加温をしております」。
かけ流しではない、と自分で書いている。そう書かない宿のほうが多いなかで、これは珍しい。
しかもそのあとが面白い。「本館大浴場では、泉温そのままの源泉浴槽を設置し、これが大変ご好評をいただいております」。
つまり、加温した40度の浴槽と、加温しない36.5度の浴槽を並べている。
交互浴という提案
宿がすすめているのは、この二つを行き来する入り方だ。
「熱い40度の大浴槽で温まった後、36.5度の源泉浴槽をゆっくりとお楽しみいただいたり、それを何度か繰り返して温度差のある二つの浴槽に交互に入る当館おすすめ『交互浴』」。
36.5度は体温とほぼ同じである。入っても熱くも冷たくもない。長く浸かっていられる。
かけ流しにできない温度を、欠点として隠すのではなく、使い方として提示している。低温泉の宿としてはひとつの答えだ。
効き方は人によるので、そこは宿の提案として読んでほしい。
庭園から引く
源泉は庭園から引いていると宿は書いている。
泉質は含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(弱アルカリ性低張性温泉)。能美市が総湯について公表している新辰口温泉の泉質はナトリウム-硫酸塩・塩化物泉なので、まつさきの湯には硫黄が加わることになる。
同じ温泉地でも、源泉が違えば分析値は変わる。辰口温泉は一本の源泉を分け合う形ではない。
効能として挙げているのは筋肉痛、関節痛、冷え性、婦人病、健康増進。
五階に三つ、一階に二つ
風呂の配置は階で分かれている。
新館の鳳凰棟5階に展望露天風呂が三つ。木犀、玉竜、雷鳥。白山連峰と庭園を望む位置にある。本館に泊まっても使える。
木犀には内湯とミストサウナと露天。玉竜は岩風呂風で、内湯とサウナ、露天には寝湯がある。この二つは昼夜と朝で男女が入れ替わる。
雷鳥は貸切露天風呂。申し込み順の予約制で、予約時でも当日でもいいと宿は書いている。
本館1階の大浴場は瑞泉の湯(男)と八千代の湯(女)。安土桃山の庭園に面している。源泉浴槽があるのはこちらだ。
新館の鳳凰棟は全室に露天風呂と内風呂が付くと宿は登録している。
天保七年、新しい泉源
公式サイトの歴史の書き方は、辰口温泉そのものの歴史と重なっている。
「遠く奈良時代に白山を開いた泰澄大師によって開湯され、多くの人が傷を癒しに訪れたという辰口温泉。室町時代に手取川の洪水によって泉源が埋没し一時途絶えたものの、江戸時代天保七年に当旅館初代の甚四郎が新泉源を発掘し『松崎旅館』を創業」。
石川県公式観光サイトは、江戸時代末期に泉源を掘り当てた人物として源助という村人の名前を挙げている。天保七年という年は合うが、名前が違う。
古い話なので、伝わり方に幅があるのだろう。どちらの記録も、洪水で途絶えた湯を江戸末期に掘り直したという筋は同じだ。
宿はもうひとつ書き添えている。「当時の記録によると、宿泊客は宿の手前で服を改めてから来泊するほど格式ある旅館だったとされています」。
泉鏡花の宿として
能美市は、まつさきを「明治の文豪・泉鏡花の小説『海の鳴る時』の舞台にもなった由緒ある温泉旅館です」と紹介している。
鏡花は金沢の生まれで、幼いころからこの温泉に通った。温泉街の中央にある温泉広場には文学碑が立っている。
金沢の文学と加賀の湯がつながる場所は多くないので、鏡花を追って旅をする人にとっては外せない一軒になる。
掛け布のこと
公式サイトの温泉ページの最後に、短い項目がある。
「乳がん手術を受けたお客様へ」。女性用大浴場には乳がん手術を受けた方専用の「掛け布」があるので使ってほしい、と書かれている。
こういうことを宿のサイトに書いている旅館は、多くない。湯の説明と同じ階層に置いてあるのがいい。
着くまで
IR松任駅から車で20分、JR小松駅から車で20分、小松空港から車で25分。要予約で送迎がある。
金沢駅からは電車と送迎で30分と宿は登録している。兼六園や近江町市場と組み合わせるなら、この距離感は使いやすい。
駐車場は80台で無料。チェックインは15時から18時、チェックアウトは10時。
ひとりでも泊まれる。食事はすべて個室。30室なので大規模ではないが、宴会場や会議室、茶室、卓球、エステもある。旅館としての作りは総合型だ。
金沢辰口温泉 まつさきのよくある質問
Qお湯はかけ流しですか
違います。公式サイトがはっきり書いています。「当館は源泉100%ですが、泉温は36.5度とやや低いため、循環加温をしております」。そのうえで本館大浴場には泉温そのままの源泉浴槽を置いていて、40度の大浴槽と36.5度の源泉浴槽に交互に入る「交互浴」を宿はすすめています。
Q泉質を教えてください
公式サイトは含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(弱アルカリ性低張性温泉)としています。効能として筋肉痛、関節痛、冷え性、婦人病、健康増進を挙げています。源泉は庭園から引いていると宿は書いています。
Qお風呂はいくつありますか
鳳凰棟5階に展望露天風呂が三つ(木犀、玉竜、雷鳥)、本館1階に大浴場(瑞泉の湯、八千代の湯)。木犀と玉竜は男女が朝と夜で入れ替わり、雷鳥は貸切露天風呂です。新館の鳳凰棟は全室に露天風呂と内風呂が付くと宿は登録しています。
Qひとりでも泊まれますか
泊まれます。宿は楽天トラベルに「お一人様歓迎」と登録しています。食事はすべて個室と書いています。
Q宿の歴史を教えてください
公式サイトはこう書いています。「江戸時代天保七年に当旅館初代の甚四郎が新泉源を発掘し『松崎旅館』を創業」。それ以前の辰口温泉は室町時代に手取川の洪水で泉源が埋没して途絶えていたとしています。明治の文豪、泉鏡花の小説「海の鳴る時」の舞台にもなった宿だと能美市は書いています。
Qアクセスを教えてください
IR松任駅から車で20分、JR小松駅から車で20分、小松空港から車で25分と宿は登録しています。要予約で送迎があります。金沢駅からは電車と送迎で30分。駐車場は80台で無料です。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

囲炉裏の御宿 花敷の湯
群馬県花敷温泉の源泉を引く唯一の一軒宿で、客室は全4室。源泉45度の自噴を内湯と二つの貸切露天風呂でかけ流しにする。夕食は樹齢千年の大木を使った別邸での囲炉裏懐石。日帰り入浴は受け付けていない。草津温泉から車で25分。

川原湯温泉 山木館
群馬県寛文年間(1661年)創業、2013年に移転新装寛文年間(1661年)に名主・又兵衛が創業し14代続く川原湯温泉最古の宿。八ッ場ダムで352年間住み慣れた場所から移転し、水没予定地の養蚕農家の古民家と蔵を移築して2013年9月に新装した。十和田石の内湯に源泉かけ流し、川原の石を使った外湯、予約不要の無料貸切風呂「竹風の湯」。全8室にそれぞれ坪庭とテラスが付き、半露天の温泉風呂付きの「冬青」と蔵造りの離れ「隠蓑」がある。かまど料理を現代風にした夕食と門出祝いの栗おこわ。川原湯温泉駅から送迎。

秩父七湯『御代の湯』 新木鉱泉旅館
埼玉県文政10年(1827年)創業埼玉県秩父市、約200年前から湧き続ける「御代の湯」を引く鉱泉宿。単純硫黄冷鉱泉で源泉温度約15度、加温して使う。つるっとした卵の白身のような肌ざわりから「卵水」と呼ばれる。露天風呂付き客室が石・陶器・ひのき・御影石の4種、直径150センチの御影石の貸切風呂もある。日帰り入浴は12時から21時。西武秩父駅からタクシー10分、送迎あり。通常は木曜定休。
※ 料金・空室・設備・営業状況は変わります。当サイトが掲載しているのは創業年や建築など変わりにくい情報のみです。 最新の情報は予約サイト、または公式サイトでご確認ください。
