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嬉野川のほとりに建つ、嬉野で最も古いとされる宿である。江戸期から続き、シーボルトがこの地を訪れた際に立ち寄ったという記録も伝わる。
入った瞬間に分かる湯
嬉野の湯は、手を入れた瞬間に分かる。
ぬるりとする。重曹を多く含む湯が肌の角質をやわらかくするためで、体をこするとさらに滑らかになる。日本三大美肌の湯のひとつに数えられるのはこの性質による。
刺激は少ない。長く浸かっていられるので、何度も入るのに向いている。湯上がりの肌がつるりとしているのが自分でも分かる。
豆腐が溶ける
嬉野の名物に温泉湯豆腐がある。
温泉水で豆腐を煮ると、重曹が豆腐の表面を溶かす。汁が白く濁り、豆腐の角が丸くなって、やがてとろける。
湯の成分がそのまま料理になっている。他の土地では再現しにくい。肌に効く理由と、豆腐が溶ける理由が同じだと分かると、この湯の性格が腑に落ちる。
着くまで
2022年に西九州新幹線の嬉野温泉駅が開業するまで、嬉野には鉄道の駅がなかった。武雄温泉駅からバスで向かうしかなかった。
今は長崎から30分ほどで着く。博多からは在来線特急と新幹線を乗り継ぐ形になるので、乗り換え時間を含めて見ておきたい。
駅から温泉街まではバスかタクシーになる。歩ける距離ではない。
温泉街は嬉野川の両岸に広がっており、その中は徒歩で回れる。
佐賀の二湯を続けて見る
嬉野と武雄は、新幹線の隣り合う駅にある。
武雄温泉の共同浴場には、国の重要文化財に指定された楼門がある。設計したのは東京駅を手がけた辰野金吾で、佐賀の出身だった。朱塗りの門をくぐって湯に入るという構えで、湯そのものは無色透明の弱アルカリ性単純温泉である。
嬉野のとろりとした湯とは性格がまったく違う。片方に泊まり、もう片方に立ち寄るという形が組みやすい。
有田や伊万里の窯場も同じ範囲にある。器を見て回るなら、こちらまで含めた行程になる。
長崎とつなぐ
長崎まで新幹線で30分ほど。この近さは行程の組み方を変える。
長崎に泊まって嬉野に立ち寄る、あるいは嬉野に泊まって翌日に長崎へ入る。どちらも成立する。
九州の西側を回るとき、嬉野は通り道として使える位置にある。湯だけを目的に往復する必要がない。
この宿を選ぶなら
湯の感触と、古い宿の佇まいを目的にする方に向く。
武雄温泉も新幹線の沿線にある。楼門で知られる武雄と、ぬるぬるの湯の嬉野。性格の違う二つを続けて訪ねられる。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

鉛温泉 藤三旅館
岩手県1786年立ったまま入る深さ1.25メートルの「白猿の湯」を持つ宿。総けやき造りの本館に四つの浴場があり、宿は源泉5本を加熱も加水も循環もせずに使うと書く。旅館部と自炊の湯治部が同じ建物にあり、湯治の形が今も生きている。32室。

奥飛騨百姓座敷の宿 藤屋
岐阜県岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根、新平湯温泉のほぼ中央に建つ宿。築二百年の百姓座敷は移築ではなく、実際に百姓座敷として使っていた建物をそのまま使っていると公式サイトは書く。日本源泉湯宿を守る会に提出した調査表では加水も加温も循環もなしと開示している。源泉は一重ケ根温泉1号泉、湧出地の泉温130度を低温泉と混ぜて調整している。貸切露天が二つ、24時間無料。

奥道後 壱湯の守
愛媛県本館は建築家・根津耕一郎の1967年の作品石手川の渓谷に沿って横長に建つ、奥道後温泉の一軒宿。pH9.4のアルカリ性単純硫黄泉を38度から42度に加温してかけ流し、男女各7種の浴槽、約千畳の大露天風呂「翠明の湯」から杉立山を見る。趣向の違う五つの貸切露天風呂、1階の川床露天風呂付き特別客室は源泉100%かけ流し。根津耕一郎設計の1967年の本館は2020年に耐震工事を終え、150メートルのガラス張りのロビーから渓谷を見る。会席とビュッフェ。日帰り入浴は15時から20時。道後温泉駅から宿泊者は無料送迎。
※ 料金・空室・設備・営業状況は変わります。当サイトが掲載しているのは創業年や建築など変わりにくい情報のみです。 最新の情報は予約サイト、または公式サイトでご確認ください。
