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五つのうち、真ん中あたり
新平湯温泉は岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ケ根。奥飛騨温泉郷を構成する五つのうちのひとつだ。
位置は分かりやすい。平湯温泉から国道471号を北へ走り、福地温泉への入口を過ぎた先。そこから蒲田川に架かる宝橋までのあいだが新平湯になる。
日本源泉湯宿を守る会は、この区間を「3km程の間、道路に沿って殆んど切れ間がないほどに旅館や民宿などが建ち並んでいる」と書いている。
奥飛騨温泉郷観光協会の紹介はこうだ。「歴史と伝統、そして新しい魅力もあわせ持つ、賑やかないで湯の里、新平湯温泉。湯量豊富な新平湯温泉には、素朴な民宿から近代的なホテル、落ち着いた和風旅館まで揃っています」。
奥飛騨のなかでは、いちばん宿の数が多い地区である。
一重ケ根という元の名前
新平湯という名前には「新」が付く。新しい平湯、という意味に読める。
だが日本源泉湯宿を守る会はこう書いている。「新平湯と呼ぶことから、さぞかし新しい温泉地かと思いきや開湯伝説では太古の出雲の民の東漸まで時代は遡り、かつては一重ケ根温泉と称していたという」。
一重ケ根は今も住所として残っている。バス停の名前にもなっている。
名前を変えたのは、隣の平湯が知られていたからだろう。実態としては別の温泉地だ。
円空が一年いた寺
新平湯には禅通寺という寺がある。
奥飛騨温泉郷観光協会はこう書いている。「元禄三年には念仏僧円空がこの地にある禅通寺に1年余り逗留し、素朴な『円空仏』を数多く残しています」。
円空は生涯に十二万体の仏像を彫ったと伝えられる僧だ。鉈で荒く削っただけのような、簡素な仏が多い。飛騨には円空仏がまとまって残っている。
元禄三年は1690年。円空の晩年にあたる。一年余り、この山あいに留まっていたことになる。
禅通寺前というバス停があり、温泉地の中心に近い。拝観できるかどうかは寺に確かめたい。
三十九の源泉
湯量の数字がはっきり残っている。
日本源泉湯宿を守る会によれば、利用源泉と未利用源泉を合わせた源泉総数は39。1分あたりの湧出量は自噴2335リットル、動力揚湯6887リットル。平成15年の調べだ。
温泉地の規模は奥飛騨温泉郷でも平湯温泉と一、二を争う、とも書かれている。宿泊施設数は民宿を含めておよそ50軒。
ただし、今の規模になったのは新しい。「もともと湯治場であった昭和40年代にボーリングによる温泉開発の結果、湯量豊富な温泉郷となった」。
伝説は古く、実体は戦後。その二つが重なっているのが新平湯である。
泉質が一つではない
奥飛騨温泉郷は活火山の焼岳の麓にある。
奥飛騨温泉郷観光協会は五つの温泉地について「単純泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉、塩化物泉など、湯めぐりを通して多彩な温泉を楽しむことができます」と書いている。
新平湯のなかでも宿によって違う。同じ通り沿いでも、単純温泉の宿もあれば、炭酸水素塩泉や塩化物泉の宿もある。三本の源泉を持ち、泉質も泉温も違うと書く宿もある。
泉質で選びたいなら、温泉地ではなく宿の分析書を見ることになる。奥飛騨温泉郷観光協会の宿一覧には、各宿の泉質が並記されている。
賑やかさをどう受け取るか
奥飛騨温泉郷のなかで新平湯を選ぶ理由は、たいてい二つある。
ひとつは宿の選択肢が多いこと。民宿から大型ホテルまであるので、予算と人数に合わせやすい。
もうひとつは位置。平湯からも新穂高からもバスで行ける中間にあり、上高地にも新穂高ロープウェイにも出やすい。
逆に、静かさを求めるなら向かない。通り沿いに宿が切れ目なく並ぶ土地で、秘湯の空気はない。それは福地温泉や新穂高の奥の側が担っている。
奥飛騨温泉郷観光協会が「賑やかないで湯の里」と書いているのは、そのままの意味だ。
着くまで
JR高山駅から濃飛バスの新穂高行きで60分ほど。松本方面からは平湯バスターミナルで乗り換える。
車なら中部縦貫道の高山ICから国道158号・471号で50キロ、50分ほど。長野道の松本ICからは70キロ、60分ほどと宿は案内している。
冬は雪が深い。安房トンネルは通年通れるが、上高地と乗鞍への道は冬季閉鎖される。装備と時間の余裕が要る。
奥飛騨温泉郷の五つは一本の道で並んでいる。どこに泊まっても、バスで他の地区へ行ける。地区を先に決めてから宿を探すのが、この温泉郷の探し方だ。
新平湯温泉の日帰り入浴
- 禅通寺
- たるまの滝
- 新穂高ロープウェイ
奥飛騨温泉郷の五つは一本の道で並ぶ。バスでも車でも移動しやすい。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
秋・冬
- 所在地Location
- 岐阜県
- 泉質Spring Quality
- 単純温泉・炭酸水素塩泉・塩化物泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR高山本線 高山駅(濃飛バス新穂高行き約60分、禅通寺前ほか下車)/松本駅から平湯乗り換え
- 東京からFrom Tokyo
- 約4時間30分
- 大阪からFrom Osaka
- 約5時間
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
新平湯温泉のよくある質問
Q新平湯温泉はどこにありますか
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ケ根。平湯温泉から国道471号を北上し、福地温泉への入口を過ぎた先です。JR高山駅から濃飛バスの新穂高行きで60分ほど。松本方面からは平湯バスターミナルで乗り換えます。
Q平湯温泉とは別ですか
別の温泉地です。奥飛騨温泉郷は平湯、福地、新平湯、栃尾、新穂高の五つからなり、新平湯はそのうち平湯と新穂高のあいだにあたります。名前に「新」が付きますが、かつては一重ケ根温泉と呼ばれていました。宿の予約サイトでは奥飛騨温泉郷とまとめて出ることが多いので、所在地を確かめてください。
Qどのくらいの規模の温泉地ですか
日本源泉湯宿を守る会は、平湯温泉と一、二を争う規模で湧出量も多いとし、利用源泉と未利用源泉を合わせた源泉総数39、1分あたりの湧出量は自噴2335リットル、動力揚湯6887リットル(平成15年調べ)、民宿を含めた宿泊施設数はおよそ50軒と書いています。国道471号沿いに3キロほど、ほとんど切れ間なく宿が並びます。
Q円空仏があるのですか
奥飛騨温泉郷観光協会は「元禄三年には念仏僧円空がこの地にある禅通寺に1年余り逗留し、素朴な『円空仏』を数多く残しています」と書いています。禅通寺前というバス停があり、温泉地の中心に近い位置です。拝観の可否と時間は寺に確かめてください。
Q泉質を教えてください
一つではありません。奥飛騨温泉郷観光協会は、焼岳の麓の五つの温泉地について単純泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉、塩化物泉などが湧くと案内しています。新平湯についても、宿ごとに単純温泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉と分かれます。泊まる宿の分析書を見るのが確実です。
Qいつから温泉地になったのですか
日本源泉湯宿を守る会は「もともと湯治場であった昭和40年代にボーリングによる温泉開発の結果、湯量豊富な温泉郷となった」と書いています。開湯伝説はさらに古い時代にさかのぼるとされますが、今の規模になったのは昭和40年代以降です。
ほかの温泉地と比べる
新平湯温泉の宿

奥飛騨百姓座敷の宿 藤屋
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根、新平湯温泉のほぼ中央に建つ宿。築二百年の百姓座敷は移築ではなく、実際に百姓座敷として使っていた建物をそのまま使っていると公式サイトは書く。日本源泉湯宿を守る会に提出した調査表では加水も加温も循環もなしと開示している。源泉は一重ケ根温泉1号泉、湧出地の泉温130度を低温泉と混ぜて調整している。貸切露天が二つ、24時間無料。

新平湯温泉 築150年の飛騨民家 おやど甚九郎
総檜づくりの古民家を使った6室の宿。露天3つと内湯2つ、合わせて5つの温泉を貸切でローテーションして無料で使える。大釜を湯船にした露天風呂があり、入口の木の鍵をかけて1時間、予約不要で入れる。バス停「禅通寺前」から徒歩2分。
UPDATED 2026.09.25


