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二百年の湯治場
青風荘.は熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽2327。阿蘇五岳のひとつ烏帽子岳の中腹にあり、周りには宿がない。
宿は自分の湯を「200年を超える昔から愛されてきた地獄温泉」と書く。湯治場として長く使われてきた場所である。
足元から湧く奇跡の湯
象徴はすずめの湯である。宿はこの湯を「奇跡の湯」と呼び、その理由を三つ並べる。足元から湧いていること。水を足していないこと。湧いたばかりの湯にそのまま体を沈められること。そのうえで、これほど新鮮なかけ流しは全国でも稀有な存在だと書く。
200年以上も昔から同じ場所で、足元から滾々と湧き上がっている。湯船の底そのものが源泉なので、注ぎ口から落ちてくる湯ではない。自分の座っている下から湧いてくる湯に浸かることになる。青みを帯びた白濁の湯である。
宿にはほかに、高温で湧く「たまご地獄」「元地獄」がある。すずめの湯、たまごの湯、元の湯でそれぞれ違う泉質の湯を体感できると宿は書く。楽天トラベルの施設情報には酸性・単純硫黄泉、酸性硫化水素泉と登録されている。
硫黄を含むので、指輪やネックレスが銀なら外して入ったほうがいい。湯の効きようは体質で違うから、治療中の病気があるなら医師に一度きいておくと安心できる。
裸をやめて、みな平等に
すずめの湯はかつて裸の混浴だった。今は着衣入浴である。
理由は宿の言葉で読める。この湯の性質を考えると、裸の混浴という形のままでは入れる人が限られてしまう。そこでスタイルを一変させ、誰もが気兼ねなく湯を味わえるように着衣で入ることにした、という筋である。結びはこうだ。「このお湯の中では老いも若きも男も女も親も子もどなたも平等」。
公式サイトには「来られるみなさまに守っていただきたい『掟』」が七つ並ぶ。湯は皆のもの、我が物顔で入るべからず。自分もゆっくり、人にもゆっくり。自分にも思いやり、人にも思いやり。むやみに干渉しない、何人にも干渉されない。そして最後に「守ればみな入浴可 守れないもの 入浴おあずけ」。
混浴が続いてきた湯を、今の時代にどう開くか。その答えがこの七つである。
八割を失って建て直した
2016年、熊本地震。その2か月後には土石流が襲った。それまで新旧あわせて30を超えていた客室のうち、宿の記述では約8割が壊滅的な被害を受けている。宿はこの時期を「時間が止まった」と書いた。
再建で復旧を決めたのは、明治中期に建てられた本館と、古材の柱や梁を使った食事処の曲水舎。本館は骨組みや梁、天井、柱をできる限り使って直すことを第一のコンセプトとした。隙間風が入り、隣とはふすま仕切り、トイレは共同という昔ながらの造りは問題も多かったので、17室あった客室を10室に減らして各部屋にトイレと洗面所を設けた。建物をぐるっと回る回り縁は寛ぎの場になった。
これに新しく建てた離れが加わる。2019年、「清風荘」から「青風荘.」へ名を改めて再開した。宿は「震災後も変わらず滾々と湧いています」と書いている。
新しい湯治
宿が掲げるのは「新しい湯治」である。
古くからの湯治は温泉地に一週間以上滞在し、一日に数度入浴を繰り返す温泉療法だった。肘折や草津が有名で、地獄温泉もそのひとつだった。しかし近代になって長期滞在型の湯治文化は廃れた。
そこで宿は、病気を癒やす長期の湯治とは別に、少しの時間でも湯に浸かって現代の人が抱える悩みやストレスをそっと癒やす、心のケアとしての湯治を提案すると書く。「地獄湯治」という言い方をしている。
食事は炭火であか牛を焼く山竈コース、京都の料亭で修行した料理長の旬菜懐石、季節の鍋コースなどから選べる。
着くまで
阿蘇くまもと空港から車で約50分。県道206号、県道28号と進み、俵山トンネルを抜けて久木野交差点を左折し県道149号へ入る。九州自動車道の熊本ICからは国道57号、新阿蘇大橋、国道325号を経て約70分。地獄垂玉温泉の看板に従って道なりに進む。
湯治での宿泊の送迎は行っていないと宿は明記している。車かタクシーで向かうことになる。日帰り入浴は10時から17時(最終受付15時)、毎週火曜が定休。臨時休業が出ることがあるので、公式サイトの新着情報を見てから出たい。
地獄温泉 青風荘.のよくある質問
Q温泉の泉質は?
楽天トラベルの施設情報には酸性・単純硫黄泉、酸性硫化水素泉と登録されています。宿には足元湧出の「すずめの湯」のほか高温で湧く「たまご地獄」「元地獄」があり、すずめの湯、たまごの湯、元の湯でそれぞれ異なった泉質の湯を体感できると公式サイトは書いています。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Qすずめの湯はどんな湯ですか?
宿は「足元から湧き、加水もせず生まれたての湯にそのまま浸かる奇跡の湯。一番新鮮な究極のかけ流しの湯は全国でも稀有な存在です」。宿が自分の湯をこう呼ぶ。と書いています。200年以上も昔から同じ場所で足元から滾々と湧き上がっているとしています。
Q混浴ですか?
着衣で入る混浴です。宿は、温泉の特質ゆえ裸で混浴であったスタイルを一変し、老若男女すべての人が交わり気遣いなく湯を楽しむために着衣入浴にしたと書いています。「このお湯の中では老いも若きも男も女も親も子もどなたも平等」としています。
Q熊本地震からどう再開したのですか?
宿によると、2016年の熊本地震と2か月後の土石流災害で、30を超えていた客室の約8割が壊滅的な被害を受けました。復旧を決めたのは明治中期に建てられた本館と食事処の曲水舎で、本館は骨組みや梁、天井、柱をできる限り使い、以前17室あった客室を10室に減らして直しました。ここに新しく建てた離れが加わります。
Q日帰り入浴はできますか?
できます。10時から17時(最終受付15時)で、定休日は毎週火曜(祝祭日は営業、別途振替日あり)。臨時休業もあるので、公式サイトの新着情報を確かめてから向かってください。湯治での宿泊の送迎は行っていないため、車かタクシーになります。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

奥飛騨百姓座敷の宿 藤屋
岐阜県岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根、新平湯温泉のほぼ中央に建つ宿。築二百年の百姓座敷は移築ではなく、実際に百姓座敷として使っていた建物をそのまま使っていると公式サイトは書く。日本源泉湯宿を守る会に提出した調査表では加水も加温も循環もなしと開示している。源泉は一重ケ根温泉1号泉、湧出地の泉温130度を低温泉と混ぜて調整している。貸切露天が二つ、24時間無料。

広沢寺温泉 玉翠楼
神奈川県広沢寺温泉の一軒宿で19室。昭和初期に建てられた純日本風の木造2階建ての本館が残り、ドラマの撮影にも使われる。敷地内に強アルカリの源泉があり、男湯の露天風呂は丹沢の渓流をイメージした浴槽。名物は猪鍋。本厚木駅からバスと徒歩で50分ほど。

岩井温泉 岩井屋
鳥取県創業150年創業150年、昔ながらの木造三階建て、全館畳敷きの13室の旅籠。1300年続く山陰最古といわれる岩井の湯を、蛇口の水まですべて源泉かけ流しで使う。名物の「源泉長寿の湯」は直立しても胸まで浸かる深い浴槽で、湯底に敷いた松板の真下から湧く湯をそのまま使う。竹垣に囲まれた露天「背戸の湯」、大浴場「祝いの湯」、貸切「よいまち草」。日本秘湯を守る会の会員宿で、日帰り入浴を受ける。
※ 料金・空室・設備・営業状況は変わります。当サイトが掲載しているのは創業年や建築など変わりにくい情報のみです。 最新の情報は予約サイト、または公式サイトでご確認ください。
