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谷の底の一軒宿
旅館大黒屋は福島県西白河郡西郷村真船字寺平1。阿武隈川の上流、谷の底に建つ。ほかに宿はない。
日光国立公園の中にあり、日本秘湯を守る会の会員宿である。総部屋数は16室。
宿は自分をこう名乗る。「白河藩主松平定信公が愛した奥甲子の一軒宿」。
定信の別荘が残っている
松平定信は寛政の改革を行った江戸中期の大名で、白河藩主だった。この湯を愛したと伝わる。
定信の別荘だった建物は、今も宿の離れとして使われている。西郷村の重要文化財としても守られていると宿は書く。江戸時代の湯治の場が建物ごと残り、しかも今も使われている例は多くない。
立って入る大岩風呂
この宿の代名詞が大岩風呂だ。寸法は縦5メートル、横15メートル。いちばん深いところで1.2メートルある。
この湯船の面白さは、湯が二方向から入ってくることだ。鳥居の形をした湯口から、44〜45度の温泉がどっと流れ出す。そして岩盤の足元から、31〜34度の温泉がじんわりと自噴する。熱い湯とぬるい湯が一つの湯船の中で混ざっている。
深さ1.2メートルは立って入る深さである。足の下から湧いてくる湯に立って浸かるという体験になる。
基本は混浴だが、女性だけが使える時間が二度用意されている。朝は5時から7時、夜は19時から21時。
二本の源泉を使い分ける
宿は源泉を二本持ち、浴槽で使い分けている。
1号源泉の表記は単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)。これが大岩風呂と櫻の湯に回る。2号源泉はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉で、こちらは恵比寿の湯へ。どちらも水を足さず温めもしない源泉かけ流しだと宿は書いている。
櫻の湯は女湯で、大岩風呂と同じ湯。男性専用の時間帯もある。恵比寿の湯は男女別で、内風呂と露天風呂がある。
泊まればすべての風呂が時間帯で入れるようになっている、と宿は案内する。一泊で四つの湯船を回れることになる。効き方は人によるから、体のことで気になる点があれば入る前に医師に確かめておきたい。
行き止まりだった道
建物が建っているのは谷の底である。新白河駅から40分ほどかけて山を上がり、最後にまた下る。
2008年に国道289号の甲子トンネルが通じて新潟方面へ抜けられるようになった。それまでこの道は行き止まりだった。開通した今も、宿の周りに店はひとつもない。
定信の湯と定信の公園
山を下りて白河市街へ出ると、南湖公園がある。享和元年、1801年に松平定信が造らせたもので、武士も庶民も分け隔てなく遊べる場としたことで知られる。日本でいちばん古い公園のひとつに数えられる。
同じ人物が愛した湯と造った公園を、一日で回れる。白河小峰城も市内にある。阿武隈川に架かる雪割橋は紅葉の名所である。
着くまで
送迎は新白河駅の東口から。無料のバスが14時に一本出る。運転する場合は東北自動車道の白河ICで下りて40分ほど。50台分の駐車場が無料で使え、予約もいらない。
東京から新白河までは新幹線で約1時間20分。日帰りで行ける距離にありながら、着けば谷の底である。冬は道路が凍るので、送迎バスの運行も含めて確かめてから向かいたい。
甲子温泉 旅館大黒屋のよくある質問
Q温泉の泉質は?
宿によると、大岩風呂と櫻の湯に使う1号源泉は単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)、恵比寿の湯に使う2号源泉はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)です。どちらも加水・加温なしの源泉かけ流しと明記しています。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Q大岩風呂はどんな風呂ですか?
縦5メートル、横15メートル、深さは最大で1.2メートルの大きな湯船です。鳥居の形をした湯口からどっと流れ出す44〜45度の温泉と、岩盤の足元からじんわりと自噴する31〜34度の温泉が同じ湯船に入っています。混浴で、女性専用の時間帯が朝5時から7時と夜19時から21時にあります。
Qほかにどんな風呂がありますか?
櫻の湯は女湯で、大岩風呂と同じ湯を使い、男性専用の時間帯もあります。恵比寿の湯は男女別で、内風呂と露天風呂があります。宿は、泊まればすべての風呂が時間帯で入れるようになっているので温泉好きにはたまらないと書いています。
Q松平定信との関係は?
江戸時代中期の白河藩主である松平定信が愛した湯で、定信の別荘だった建物を宿が離れとして使っています。この建物は西郷村の重要文化財としても守られていると宿は書いています。
Qアクセスは?
JR新白河駅の東口から宿の無料送迎バスが14時に出ます。車では東北自動車道の白河ICから約40分。駐車場は50台で無料、予約はいりません。山の中の一軒宿なので周りに店はありません。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

青根温泉 湯元不忘閣
宮城県慶長年間に湯別当として始まり、当主は21代続くと日本秘湯を守る会に登録している宮城県柴田郡川崎町青根温泉1-1。伊達政宗が訪れた際に「この地忘れまじ」と名付けたと伝わる、仙台藩一門の湯治湯。川崎町は本館・離れ・門・蔵など計7棟が国の登録有形文化財と書く。土蔵の中に造られた蔵湯、木造建築と石風呂が調和する大湯など六つの湯屋があり、蔵湯と半露天の亥之輔の湯は貸切で使える。泉質は単純温泉、加水・加温なしの源泉かけ流し。全14室。日帰り入浴は受けていない。

奥飛騨百姓座敷の宿 藤屋
岐阜県岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根、新平湯温泉のほぼ中央に建つ宿。築二百年の百姓座敷は移築ではなく、実際に百姓座敷として使っていた建物をそのまま使っていると公式サイトは書く。日本源泉湯宿を守る会に提出した調査表では加水も加温も循環もなしと開示している。源泉は一重ケ根温泉1号泉、湧出地の泉温130度を低温泉と混ぜて調整している。貸切露天が二つ、24時間無料。

岩井温泉 岩井屋
鳥取県創業150年創業150年、昔ながらの木造三階建て、全館畳敷きの13室の旅籠。1300年続く山陰最古といわれる岩井の湯を、蛇口の水まですべて源泉かけ流しで使う。名物の「源泉長寿の湯」は直立しても胸まで浸かる深い浴槽で、湯底に敷いた松板の真下から湧く湯をそのまま使う。竹垣に囲まれた露天「背戸の湯」、大浴場「祝いの湯」、貸切「よいまち草」。日本秘湯を守る会の会員宿で、日帰り入浴を受ける。
※ 料金・空室・設備・営業状況は変わります。当サイトが掲載しているのは創業年や建築など変わりにくい情報のみです。 最新の情報は予約サイト、または公式サイトでご確認ください。
