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熱海駅から坂を下りる。海沿いの高層ホテルが並ぶ一帯から少し外れたところに、木造の門がある。
薄めない
熱海の湯は高温で湧く。水で薄めれば簡単に浴槽の温度になるが、それでは成分も薄まる。
この宿は加水しない方針を取っている。湯を冷ますには時間と手間がかかるが、そうしないと源泉のままの湯にはならない。
泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉。塩分が肌に膜をつくるので、湯から上がっても熱が逃げにくい。冬に来ると、外に出てからもしばらく体が温かいままだ。
熱海の湯は江戸期、樽に詰めて江戸城へ運ばれた。御汲湯と呼ばれるこの制度で使われた源泉の系統を、この宿は引いている。
文化3年から
創業は1806年と伝わる。熱海でも古い部類に入る。
海沿いに高層ホテルが並ぶ景観は、昭和の団体旅行の時代に作られたものだ。その前からこの宿はここにあり、その後の低迷も、近年の再生も見てきた。
小規模な木造の宿が、大型ホテルの街のなかに残っている。その事実自体が、この宿の位置を示している。
熱海を歩く
東京駅から新幹線で約40分。思い立った日に行ける温泉地は多くない。
來宮神社の大楠は樹齢二千年を超えるとされる。MOA美術館は相模湾を見下ろす高台にあり、長いエスカレーターで上がる構造そのものが体験になっている。
海上花火大会は夏に限らず年間を通じて複数回開かれる。三方を山に囲まれた湾が音を反響させるので、規模の数字以上に迫力がある。
着くまで
東京駅から新幹線でおよそ40分。思い立った日に行ける温泉地は、そう多くない。
熱海の市街地は坂が多い。駅周辺と海沿いは歩けるが、宿が高台にあるか駅前にあるかで着いてからの動きがまったく違う。
この宿を選ぶなら
湯の扱い方で選ぶ宿である。眺望や設備の新しさを求めるなら、海沿いの大型ホテルのほうが合う。
市内は坂が多い。駅周辺と海沿いは歩けるが、來宮神社やMOA美術館へはバスを使うほうが楽だ。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

岩室温泉 高志の宿 高島屋
新潟県江戸時代の庄屋屋敷を活かした「泊まれる料亭」。280年を経た建物に明治天皇が休んだ部屋を当時のまま残し、百年近い土蔵は登録有形文化財。将棋の棋聖戦や囲碁の十段戦の対局が行われてきた18室の宿で、岩室の黒湯を古代檜の内湯と露天風呂、源泉かけ流しの露天風呂付き客室で使う。

人吉温泉 芳野旅館
熊本県1909年(明治42年)料亭として創業相良藩の御典医だった安藤家の屋敷跡に、明治42年に料亭として創業した木造の宿。本館は昭和6年、別広間棟は大正2年、居間棟は明治21年の建築で、平成25年に国の登録有形文化財に登録された。司馬遼太郎が泊まった。源泉かけ流しの湯を貸切露天「離れの湯」三つと本館の貸切風呂で使う。15室。

武田尾温泉 紅葉舘 別庭 あざれ
兵庫県武田尾温泉の12室の宿。武庫川の渓谷沿いに全室一戸建ての離れが並び、どの部屋にも源泉かけ流しの半露天風呂が付く。大浴場「かわせみの湯」「やませみの湯」にも源泉かけ流しの露天風呂がある。泊食分離で、食事は茶寮「心」。武田尾駅から徒歩5分。
※ 料金・空室・設備・営業状況は変わります。当サイトが掲載しているのは創業年や建築など変わりにくい情報のみです。 最新の情報は予約サイト、または公式サイトでご確認ください。
