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田沢湖からバスで山に入り、途中から未舗装の道になる。木立を抜けると急に視界が開けて、茅葺屋根の長屋が現れる。黒い板壁が雪に埋もれている写真で知られる、あの建物である。
本陣
江戸期に秋田藩主の湯治場が置かれたと伝わる。その本陣が今も建っていて、客室として使われている。
中に入ると天井が低い。囲炉裏が切ってあり、炭がおこしてある。窓は小さく、壁は煤で黒い。断熱も気密も現代の建物とは比べものにならないので、囲炉裏のそばから離れると寒い。それが不便かというと、そうでもない。寒いから火のそばに人が集まる。
白い湯に入る
露天風呂は乳白色で、底が見えない。足を探りながら入っていくと、砂利のあいだから気泡が上がってくるのが分かる。湯船の底そのものが源泉である。
注ぎ口から落ちてくる湯ではなく、自分が座っている真下から湧いてくる湯に浸かっている。硫黄の香りが強い。
雪の季節は、湯に浸かっていると視界の大半が白くなる。人工の光がほとんどないので、夜は湯気と雪しか見えない。
七つの湯を巡る
乳頭温泉郷は七軒の宿がそれぞれ別の源泉を持っている。宿泊者は湯めぐり帖を使って他の宿の湯に入れる。
一泊で全部は回れない。二泊するか、行きたい湯を絞るのが現実的である。
予約が取れるかどうかから始まる
鶴の湯は、行きたいと思った日に行ける宿ではない。
ただし乳頭は七軒ある。鶴の湯だけが乳頭ではない。妙乃湯、黒湯、蟹場、大釜、孫六、休暇村。それぞれ別の源泉を持ち、湯の色も温度も違う。
混浴に抵抗があるなら
鶴の湯の露天風呂は混浴だが、女性専用の時間帯や別の浴槽も設けられている。
湯は乳白色で底が見えない。入ると腰から下が見えなくなるので、心理的な負担は思うより小さい。逆に、足を探りながら入ることになるので段差には注意が要る。
運用は変わることがあるので、現地の案内に従いたい。
秋のブナ林
田沢湖まで下りれば、湖の周遊やたつこ像がある。角館まで足を延ばせば武家屋敷の町並みがある。秋田を回るなら、この三つを一本の線でつなげられる。
この宿を選ぶなら
設備の快適さを求める宿ではない。建物の古さと、周囲に何もないことが価値になる。
予約は非常に取りにくく、数か月前から動く必要がある。楽天トラベルには本館の掲載がないため、予約は宿へ直接になる。冬季は道路状況が厳しく、公共交通とバスを使うほうが確実である。
似た条件の宿
この宿と共通する条件を持つ、別の温泉地の宿です。並びは共通する条件の数で、順位ではありません。

白骨温泉 泡の湯
長野県白濁湯をたたえた大露天風呂で知られる山中の宿。湧出したままの温度で入れる、ぬるい源泉風呂を持つ。

法師温泉 長寿館
群馬県1875年(明治8年)創業三国峠の麓、法師温泉にただ一軒建つ宿。明治8年に岡村貢が湯小屋を整えて創業し、明治28年築の大浴場「法師乃湯」は浴槽の底の玉石の間から湯が湧く。本館・法師乃湯・別館の三棟が2006年に国の登録有形文化財となった。与謝野晶子、川端康成、若山牧水が滞在。フルムーンのポスターの湯。

鉛温泉 藤三旅館
岩手県1786年立ったまま入る深さ1.25メートルの「白猿の湯」を持つ宿。総けやき造りの本館に四つの浴場があり、宿は源泉5本を加熱も加水も循環もせずに使うと書く。旅館部と自炊の湯治部が同じ建物にあり、湯治の形が今も生きている。32室。
乳頭温泉郷をほかと比べる
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