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松尾芭蕉は『おくのほそ道』の途上でこの湯に滞在し、有馬・草津とならぶ「扶桑三名湯」と讃えたと伝わる。
山中の価値は湯だけではない。町のすぐ横を大聖寺川が流れ、鶴仙渓と呼ばれる渓谷をつくっている。湯と渓谷が一続きになっているのが、この温泉地の形である。
菊の湯
共同浴場の菊の湯は、男湯と女湯が別棟に分かれている。町の中心に建ち、日帰りで入れる。
女湯の建物には山中座が併設されており、山中節の実演が行われることがある。湯女たちが唄い継いだ民謡で、この土地の湯の文化そのものである。
この温泉地の湯
硫酸塩泉と塩化物泉。無色透明で保温性が高い。刺激は強くなく、長く浸かっていられる。
渓谷を歩くための温泉地
山中は、町を歩くというより谷を歩く温泉地である。
こおろぎ橋からあやとりはしを経て黒谷橋まで、およそ1.3キロの遊歩道がある。片道30分ほど。川沿いに階段と起伏があるので、歩きやすい靴で行きたい。
こおろぎ橋は木造で、渓谷の入口にあたる。あやとりはしは草月流の勅使河原宏が設計したもので、紫色にうねる形をしている。伝統的な橋と現代的な橋が同じ渓谷に架かっているのが面白い。
季節によっては川床が出て、渓谷を眺めながら休める。芭蕉は黒谷橋のあたりを好んだと伝えられており、句碑が置かれている。
湯に入る前に歩くか、入った後に歩くか。どちらでも成立するが、渓谷を先に歩いてから菊の湯に入る順にすると、足の疲れが取れる。
山中漆器という土産
山中は漆器の産地である。木地を挽く技術に定評があり、椀などの丸物で知られる。
もとは湯治客への土産として発達した。温泉地と工芸が結びついた例で、町には工房や店がある。
加賀という土地は、器と食と湯が近いところにある。山代には九谷焼があり、山中には漆器がある。二つを続けて回ると、同じ加賀でも作るものが違うということが見えてくる。
加賀のどこに泊まるか
山代、山中、片山津。いずれも加賀温泉駅からバスで行ける。
山中を選ぶ理由は渓谷にある。歩く時間を旅の中心に置きたいなら、ここになる。
山代は町の構造そのものが見どころで、総湯を中心に旅館が円を描いて囲む。片山津は柴山潟に面していて、水面の眺めが中心になる。
金沢まで一時間ほど、福井の永平寺や東尋坊も同じ範囲にある。北陸を回る行程の中に置きやすい位置である。
歩き方
JR北陸本線の加賀温泉駅からバスで30分ほど。大阪から特急でおよそ2時間45分、東京からは北陸新幹線経由で3時間15分ほど。
温泉街は川沿いに細長く伸びている。渓谷の遊歩道とあわせると、歩く距離はそれなりになる。
山中温泉の日帰り入浴
- 菊の湯(男湯・女湯)
- 温泉街の足湯
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
秋
- 所在地Location
- 石川県
- 泉質Spring Quality
- 硫酸塩泉・塩化物泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR北陸本線 加賀温泉駅(バス約30分)
- 東京からFrom Tokyo
- 約3時間15分
- 大阪からFrom Osaka
- 約2時間45分
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
山中温泉のよくある質問
Q山中温泉は日帰りでも楽しめますか?
楽しめます。共同浴場の菊の湯があり、男湯と女湯が別棟に分かれています。鶴仙渓の遊歩道は自由に歩けるため、渓谷散策と入浴で半日が成り立ちます。加賀温泉駅からバスで30分ほどです。
Q鶴仙渓の遊歩道はどのくらい歩けますか?
こおろぎ橋からあやとりはしを経て黒谷橋まで、およそ1.3キロの遊歩道が整備されています。片道30分ほどで、川床が出る季節には途中で休めます。渓谷に沿って歩くため階段と起伏があります。歩きやすい靴で向かってください。
Q松尾芭蕉と山中温泉の関係は何ですか?
芭蕉は『おくのほそ道』の途上で山中温泉に滞在し、この湯を有馬・草津とならぶ「扶桑三名湯」と讃えたと伝わります。町には芭蕉ゆかりの場所が残り、句碑も置かれています。黒谷橋のあたりを芭蕉が好んだと伝えられています。
Q山中漆器とは何ですか?
山中温泉の一帯で作られてきた木製の漆器です。木地を挽く技術に定評があり、椀などの丸物で知られます。町には工房や店があり、器を見て回れます。湯治客への土産として発達した経緯を持つ、温泉地と結びついた工芸です。
山中温泉の宿

山中温泉 かよう亭
客室数を絞った小規模の宿。鶴仙渓を見下ろす高台に建ち、加賀の器と食を静かな環境で受け止める。

加賀・山中温泉 すゞや今日楼
山中温泉の33室の宿。山中漆器の椀をかたどった直径3.6メートルの大露天「おわんの湯」があり、赤湯と黒湯の二つ。飲泉もできると宿は書く。加賀温泉駅からバスで60分。
UPDATED 2026.08.27

