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圏外にある一軒宿
青荷温泉は青森県黒石市沖浦、青荷渓谷の底にある一軒宿だ。
黒石市の施設「松の湯交流館」は、こう紹介している。「黒石温泉郷の中でも一番山深くに位置する青荷温泉は別名ランプの宿として知られています。自然豊かな環境で、電気は一切使わず、たくさんのランプの光だけで過ごす空間は日常の喧騒を忘れると、人気が高い温泉宿です」。
携帯の電波も届かない。宿自身が「圏外の宿」と書いている。
黒石温泉郷は温湯、板留、落合、青荷の四つ。前の三つは市街地寄りの温泉街だが、青荷だけが山の奥にある。
昭和四年、歌人が開いた
開湯は新しい。宿の説明を引く。
「青荷温泉の歴史は、黒石市板留の丹羽旅館の長男であり、1959(昭和34)年11月3日、第1回県文化功労賞受賞の栄誉に輝いた、青森県の歌人『丹羽洋岳(にわようがく:本名丹羽繁太郎)』が1929年(昭和4年)に開湯したことから始まります」。
温泉宿の息子が、山奥に自分の宿を開いた。しかもその人は歌人で、のちに県の文化功労賞を受けている。
「東北の人々が農閑期に訪れる湯治場として愛されてきた秘湯」と宿は続ける。
観光地として作られた場所ではない。農作業の切れ目に体を休めに来る場所だった。
電気を通したのは二十五年前
電気が「一切ない」わけではない。宿はそこを正確に書いている。
「人里離れた大自然のなかの一軒宿に、非常灯をつけるために電気を通したのは、およそ25年ほど前のこと。それでも厨房の一部や冷蔵ケース、トイレの便座が電化されただけで、古い木造建築に配線が困難だったことと、何より『ここは田舎だから、昔のランプが似合うし、大切にしていきたい』という思いで、ランプでの照明を続けてきました」。
配線が難しかった、という現実的な理由と、ランプが似合うから、という選択。その両方を並べて書いている。
各室に電灯はない。テレビもエアコンもない。夜は職人がランプを吊るした棹を担いでランプ小屋から出てくる。
四つの風呂
青森県公式観光情報サイトの説明が要点を押さえている。
「施設には特色の異なる4つのお風呂があり、全て源泉かけ流し。総ヒバ造りの『健六の湯』とヒバの香る落ち着いた『本館内湯』、吊り橋を渡った対岸には内風呂と露天風呂からなる『滝見の湯』、野趣あふれる岩造りの『露天風呂』があります。露天風呂は混浴ですが、女性専用タイムもあるので安心」。
吊り橋を渡って対岸へ行く風呂がある。滝見の湯という名のとおり、窓の向こうに滝と渓流が見える。
健六の湯は24時間入れる。ほかの三つは朝5時半から夜9時半まで。
泉質は単純泉。黒石市の資料では泉温47.3度、低張性弱アルカリ性。無色透明で肌にやさしい。
冬は車が入らない
青荷へ行く道は、冬になると一般車両が通行止めになる。
宿は「冬場は雪に閉ざされて自家用車は通行止めになるため、送迎バスで山道を30分揺られてようやく辿り着く場所です」と書いている。
つまり、冬に行くなら宿の送迎に乗るしかない。時間も決まっている。
雪に埋もれた谷底で、ランプだけの夜を過ごす。この宿がいちばんその名に似合うのは冬だが、同時にいちばん行きにくいのも冬である。
予約のときに、送迎の集合場所と時間を必ず確かめたい。電波が届かないので、着いてから連絡を取ることはできない。
何もない、という設計
宿は自分たちの売りを「不便という名の贅沢」と書いている。
青森県公式観光情報サイトは「『何もない』という贅沢。ランプが照らす渓谷の秘湯」と見出しを付けている。
食事は大広間に集まって食べる。岩魚や山菜が中心の郷土料理だ。
部屋で過ごすことも、画面を見ることもできない。することがないので、湯に入って、ランプを見て、寝る。
それを退屈と取るか贅沢と取るかで、この宿の評価は分かれる。行く前にそこだけは考えておいたほうがいい。
着くまで
弘南鉄道の黒石駅から温川行きのバスに乗り、虹の湖公園で降りる。そこから宿の無料送迎バス。
車なら黒石市街から山へ入る。駐車場は50台あるが、冬期間は一般車両通行止めでシャトルバス利用になる。
日帰り入浴は10時から15時。黒石市の案内では4月1日から11月30日までで、冬期間は送迎時間に準じる。
黒石の市街地には中町のこみせ通りという古い通りがあり、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれている。青荷へ入る前後に寄れる。
青荷温泉の日帰り入浴
- 虹の湖公園
- 黒石市中町のこみせ通り
- 温湯温泉
黒石温泉郷は温湯、板留、落合、青荷の四つ。青荷はいちばん奥にある。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
秋・冬
- 所在地Location
- 青森県
- 泉質Spring Quality
- 単純温泉
- 最寄駅Nearest Station
- 弘南鉄道 黒石駅(バス温川行き 虹の湖公園下車、宿の送迎)/冬季は一般車両通行止めでシャトルバス
- 東京からFrom Tokyo
- 約5時間
- 大阪からFrom Osaka
- 約7時間
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
青荷温泉のよくある質問
Q本当に電気がないのですか
各室に電灯はありません。宿は「人里離れた大自然のなかの一軒宿に、非常灯をつけるために電気を通したのは、およそ25年ほど前のこと。それでも厨房の一部や冷蔵ケース、トイレの便座が電化されただけ」と書いています。古い木造建築に配線が難しかったことと、ランプを大切にしたいという考えからランプでの照明を続けているそうです。携帯の電波も届きません。
Q風呂はいくつありますか
四つです。青森県公式観光情報サイトは「特色の異なる4つのお風呂があり、全て源泉かけ流し。総ヒバ造りの『健六の湯』とヒバの香る落ち着いた『本館内湯』、吊り橋を渡った対岸には内風呂と露天風呂からなる『滝見の湯』、野趣あふれる岩造りの『露天風呂』があります」と案内しています。露天風呂は混浴ですが、女性専用の時間があります。
Q泉質と泉温を教えてください
黒石市の施設が公開している数字では、泉温47.3度(気温6.5度のとき)、泉質は単純泉(低張性弱アルカリ性)。無色透明で肌にやさしい湯ざわりだと青森県公式観光情報サイトは書いています。宿は四つの風呂すべてを源泉かけ流しとしています。
Qいつ開かれた温泉ですか
宿は1929年(昭和4年)としています。開いたのは青森県の歌人、丹羽洋岳(本名 丹羽繁太郎)。黒石市板留の丹羽旅館の長男で、1959年に第1回県文化功労賞を受けた人物だと宿は説明しています。東北の人々が農閑期に訪れる湯治場として使われてきました。
Q冬でも行けますか
行けます。ただし冬季は一般車両が通行止めになり、シャトルバスで入ります。宿は「冬場は雪に閉ざされて自家用車は通行止めになるため、送迎バスで山道を30分揺られてようやく辿り着く場所です」と書いています。冬の条件は予約時に必ず確かめてください。
Q日帰りで入れますか
入れます。黒石市の案内では10時から15時、日帰り入浴は4月1日から11月30日まで、冬期間は送迎時間に準じます。電波が届かないので、行く前に電話で確かめてから向かうのが確実です。
ほかの温泉地と比べる
UPDATED 2026.09.25



