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キツネが落とした昼飯
嶽温泉は青森県弘前市常盤野、岩木山の南側の山麓にある。
開湯の伝えを、嶽温泉旅館組合が自分たちのサイトに詳しく書いている。
延宝2年(1674年)、百沢村の杣夫である野呂長五郎が、岩木のシトギ森へ薪を切りに行った。昼飯の包みを切り株に置いて仕事をしていると、一匹のキツネが包みをくわえて逃げていく。追いかけて追いつきそうになったとき、キツネは包みを雪穴に落として逃げ去った。
「長五郎が雪穴に降りてみると、そこだけに雪がなく湯気が立ちのぼって温泉が沸いていた。これが今の湯の沢だという」。
長五郎はそこに笹小屋をかけ、誰でも入浴できるようにした。それが嶽温泉の始まりだと組合は書いている。
動物が湯を教える開湯伝説は全国にあるが、たいていは傷を癒している場面だ。ここは昼飯を盗まれて追いかけた先、という筋になっている。
火事のあとに下りた温泉街
組合の記述には続きがある。
「寛政8年(1794年)の火事でさらに1,000メートルほど下方に湯小屋が建てられ、四季を通して居住するようになったのが、現在の嶽温泉のはじまりである」。
最初に湯が見つかった場所と、今宿が並んでいる場所は違う。火事で一度焼けて、千メートル下へ移った。
そして、そのときから人が一年中住むようになった。それ以前は季節ごとの湯小屋だったということだ。
温泉地としての年齢を数えるなら、1674年と1794年の二つの起点がある。
硫黄の匂いが濃い
泉質の書き方は資料によって違う。
嶽温泉旅館組合は「硫化水素性・含ミョウバン・緑バン・酸性塩化土類泉(緊張低張性高温泉)で硫黄の匂いが濃い」とする。
弘前市の観光情報サイトは泉熱78度、泉質を酸性・含硫黄-カルシウム-塩化物泉としている。
日本温泉協会は硫黄泉とし、泉質別適応症としてアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症を挙げている。
表現は違うが、酸性寄りの硫黄泉という点は共通している。白く濁り、匂いが強い湯だ。
酸性で成分が強いので、浴槽に木を使う宿がある。金属だと傷むからだ。効き方は人によるので、肌の弱い人は長湯を避けたほうがいい。
六軒の宿
嶽温泉旅館組合に載っているのは六軒である。
小島旅館、縄文人の宿、嶽ホテル、田澤旅館、西澤旅館、山のホテル。
組合の事務所は小島旅館に置かれている。問い合わせ先の電話番号も小島旅館のものだ。
大きな温泉街ではない。道沿いに宿が並び、そのあいだに土産物の店がある。
日本温泉協会は「徳川時代から湯治場として栄えてきた。湯量豊富でリウマチ、皮フ病などに効果がある」と書く。今も湯治で長く泊まる人がいる。
岩木山の登り口
嶽温泉は岩木山の登山口のひとつである。
岩木山は標高1625メートル、津軽平野のどこからでも見える山だ。古くから霊山として信仰されてきた。
津軽岩木スカイラインで八合目まで上がれる。そこからリフトで九合目。冬季は閉鎖されるので、開通期間は年ごとに確かめたい。
弘前市の観光情報サイトは、近くの高原が石坂洋次郎の小説「草を刈る娘」の舞台になったと書いている。
山の上と、山の麓の湯。この二つが組み合わさっている温泉地だ。
りんご畑を抜けて
弘前市街から嶽へ向かう道は、りんご畑のあいだを抜けていく。
弘前はりんごの産地で、秋になると赤い実が並ぶ。アップルロードという名前の道もある。
嶽の名物はとうもろこしだ。標高の高い畑で作られる嶽きみは、夏の終わりから秋にかけて道沿いで売られる。
温泉に入って、山に登って、りんごととうもろこしを買って帰る。そういう土地である。
福島の岳温泉とは別
福島県二本松市に「岳温泉」がある。読みは同じ「だけおんせん」だが、別の温泉地だ。
あちらは安達太良山の中腹から8キロ引いてきた酸性泉で、高村光太郎の「智恵子抄」に出てくる「ほんとの空」の山の麓にある。字は「岳」、こちらは「嶽」。
予約サイトで「だけおんせん」と検索すると両方出てくる。青森県弘前市か、福島県二本松市か。所在地を見れば間違えない。
どちらも酸性寄りの湯という点は似ている。ただ、あちらは引湯で、こちらは山麓に湧いている。
着くまで
JR奥羽本線の弘前駅から弘南バスの嶽・枯木平行きで約50分、嶽温泉で降りて徒歩1分。
車なら東北自動車道の大鰐弘前ICから県道3号経由で約30キロ、50分ほどと日本温泉協会は案内している。弘前市の観光情報サイトはアップルロード経由で約40分としている。
冬は雪が深い。岩木山の麓なので、市街地より積もる。
弘前城や弘前の洋館を回ってから山へ入る、という組み立てがしやすい。市街から40分ほどの距離だ。
嶽温泉の日帰り入浴
- 岩木山
- 津軽岩木スカイライン
- 弘前城と弘前の街
弘前市街まで車で40分ほど。りんご畑を抜ける道が続く。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
秋・冬
- 所在地Location
- 青森県
- 泉質Spring Quality
- 硫黄泉・酸性泉・塩化物泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR奥羽本線 弘前駅(弘南バス 嶽・枯木平行き約50分、嶽温泉下車 徒歩約1分)/東北道 大鰐弘前IC(車約40〜50分)
- 東京からFrom Tokyo
- 約5時間
- 大阪からFrom Osaka
- 約7時間
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
嶽温泉のよくある質問
Q嶽温泉はどこにありますか
青森県弘前市常盤野、岩木山の南側の山麓です。日本温泉協会は「岩木山の南側山麓に位置する温泉地。徳川時代から湯治場として栄えてきた」と書いています。JR奥羽本線の弘前駅から弘南バスの嶽・枯木平行きで約50分、嶽温泉で降りて徒歩1分です。
Q開湯の伝えを教えてください
嶽温泉旅館組合が細かく書いています。延宝2年(1674年)、百沢村の杣夫である野呂長五郎が岩木のシトギ森へ薪切りに行き、昼飯の包みを切り株に置いて仕事をしていたところ、一匹のキツネが包みをくわえて逃げた。追いかけると、キツネは包みを雪穴に落として逃げ去った。長五郎が雪穴に降りてみると、そこだけ雪がなく湯気が立ちのぼって温泉が沸いていた。それが今の湯の沢だと伝わります。
Q今の場所はいつからですか
嶽温泉旅館組合は「寛政8年(1794年)の火事でさらに1,000メートルほど下方に湯小屋が建てられ、四季を通して居住するようになったのが、現在の嶽温泉のはじまりである」と書いています。発見の場所と、今の温泉街の場所は違います。
Q泉質を教えてください
資料によって書き方が違います。嶽温泉旅館組合は「硫化水素性・含ミョウバン・緑バン・酸性塩化土類泉(緊張低張性高温泉)で硫黄の匂いが濃い」としています。弘前市の観光情報サイトは泉熱78度、泉質を酸性・含硫黄-カルシウム-塩化物泉としています。日本温泉協会は硫黄泉とし、泉質別適応症としてアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症を挙げています。
Q何軒の宿がありますか
嶽温泉旅館組合に六軒が載っています。小島旅館、縄文人の宿、嶽ホテル、田澤旅館、西澤旅館、山のホテル。組合の事務所は小島旅館に置かれています。
Q岩木山に登れますか
登れます。嶽温泉は岩木山の登山口のひとつです。津軽岩木スカイラインで八合目まで上がり、リフトで九合目まで行ける道もありますが、冬季は閉鎖されます。開通期間は年によって変わるので、行く前に確かめてください。
Q福島の岳温泉とは違いますか
別の温泉地です。福島県二本松市の岳温泉は読みが同じ「だけおんせん」ですが、字は「岳」で、安達太良山の中腹から8キロ引いてきた酸性泉です。青森県弘前市の嶽温泉は字が「嶽」で、岩木山の南麓に湧いています。予約サイトでは所在地を確かめてください。
ほかの温泉地と比べる
UPDATED 2026.09.25



