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除雪が入らない場所にある
滑川温泉は山形県米沢市大字大沢字滑川15。吾妻連峰の奥、松川の上流にある一軒宿の温泉である。
この温泉地を説明するのに、もっとも早い事実がある。冬は宿が開かない。宿は「滑川温泉福島屋までは除雪が入らないため、冬季間休業いたします」と告知し、2026年度の営業を4月26日から11月4日までとしている。日本秘湯を守る会の会員宿一覧にも期間営業とあり、営業休止期間は11月5日から、再開は降雪状況によると書かれている。
除雪車が入らない。だから半年閉じる。山の奥にあるというのは、そういう意味だ。
青白く濁る湯
日本秘湯を守る会が載せている泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。源泉温度は40.4度から53.6度、湧出量は毎分150リットル。湯の色は青白く濁ると書かれている。
源泉温度に幅があるのは、ひとつの湯ではないからだ。宿は三本の自家源泉を持っている。
日本温泉協会の施設情報では、泉質は硫酸塩泉、泉温54度、色は青色と記載されている。団体によって表記は違うが、青く濁るという点は共通している。
硫黄を含む湯が空気に触れると、湯の色は青白く沈む。晴れた日の露天では、その色が水の底まで見えるほど濃く出ることがある。
三本の源泉を、そのまま
宿は湯の扱いを一行で言い切っている。「加水・加温・循環なし。3本の自家源泉をそのまま楽しむ山の一軒宿」。
源泉温度が40度台から50度台なら、たしかに手を加える必要がない。湧いた湯をそのまま浴槽に落として、ちょうどいい温度になる。山の奥でこれが成立するのは、地下の条件が偶然そろったからだ。
日本秘湯を守る会は浴場の構成も載せている。内湯が2つ(女性用1、混浴大浴場1)、露天風呂が2つ(岩風呂と檜風呂)。岩風呂には1日2回、女性専用の時間があるとされている。
渓流のすぐ横で
露天風呂は渓流沿いにある。浴槽の縁の向こうがすぐ川で、水の音が絶えない。
山の中の露天には二種類ある。景色を借りるものと、地形の中に埋まっているもの。滑川は後者だ。見晴らしがいいわけではなく、谷の底にいる。木と岩と水に囲まれて、空が細く見える。
新緑と紅葉の時期が濃い。日本温泉協会も「渓流沿いの露天風呂から眺める新緑、紅葉が大変美しい」と書いている。
日本の滝百選が、歩いて行ける
滑川温泉のもうひとつの顔は、滑川大滝への登山口であることだ。
山形県公式観光サイトは、滑川大滝を「日本の滝100選に選ばれている東北地方最大級の名瀑」とし、落差80メートル、幅40メートルと書いている。東北で最大クラスの滝である。
行き方も県のサイトに詳しい。滑川温泉から東大巓へ向かう登山道を30分ほど登ると尾根の上に大滝展望台があり、そこから谷へ急斜面を30分ほど下り、沢を10分ほど渡ると滝壺に着く。滑川温泉前の吊橋を渡れば登山道に合流でき、吊橋には維持管理のための通行料が要る。
展望台までなら往復1時間ほど。滝壺まで降りるなら、それなりの装備と体力がいる。見ごろは6月から11月上旬とされている。
秘湯を守る会の宿として
滑川温泉の福島屋は、日本秘湯を守る会の会員宿である。
この会は、宿が山奥にあるかどうかではなく、湯をどう守っているかで会員を選ぶ。加水も加温も循環もしないと宣言できる宿は、それだけで会の性格に合っている。
会の一覧には、日帰り入浴が可、1名利用も可と載っている。ひとりで山に入って、青い湯に浸かって帰る。そういう使い方を宿が受け入れている。
吾妻の湯を並べる
滑川の近くには、性格の似た湯がいくつかある。
姥湯温泉は同じ米沢市の山奥にあり、こちらも期間営業。白布温泉は天元台へ向かう道の途中にあり、通年で開いている。
吾妻連峰の山形側には、こうした山の湯が点々と並んでいる。どれも冬は近づきにくく、夏から秋にかけてが季節だ。
一泊では滑川だけ。二泊できるなら、性格の違う吾妻の湯をもう一つ足す。山の奥に入る旅は、そのくらいの組み方がちょうどいい。
滑川温泉の日帰り入浴
- 滑川大滝
- 姥湯温泉
- 白布温泉
滑川温泉自体が冬季休業。日帰り入浴も営業期間内に限られる。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
春・夏・秋
- 所在地Location
- 山形県
- 泉質Spring Quality
- 硫黄泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR奥羽本線 峠駅
- 東京からFrom Tokyo
- 山形新幹線で米沢駅へ出て、そこから車。国道13号から板谷経由で山道に入る。
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
滑川温泉のよくある質問
Q泉質は何ですか
日本秘湯を守る会は含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉と載せ、青白く濁る湯と書いています。源泉温度は40.4度から53.6度、湧出量は毎分150リットル。日本温泉協会の施設情報では泉質を硫酸塩泉、泉温54度、色を青色としています。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Q冬も行けますか
行けません。宿は除雪が入らないため冬季は休業すると案内しており、日本秘湯を守る会も期間営業として営業休止期間を11月5日からとしています。営業はおおむね4月下旬から11月上旬まで。再開の時期は雪の状況によるので、予約の前に宿の告知を確かめてください。
Q日帰りで入れますか
入れます。日本秘湯を守る会は日帰り入浴ありとし、日本温泉協会の施設情報は日帰入浴時間を9時から16時としています。ただし営業期間内に限られ、山道の先にあるので日帰りでも半日は見ておきたいところです。
Q滑川大滝へはどう行きますか
山形県公式観光サイトは「滑川温泉より東大巓へ向かう登山道を30分ほど登った尾根の上に大滝展望台があります。そして、展望台より谷へ急斜面の登山道を30分ほど下り、沢を10分ほど渡ると滝壺に到着」と書いています。滑川温泉前の吊橋を渡ると登山道に合流でき、吊橋は維持管理のための通行料が要ります。見ごろは6月から11月上旬とされています。
Q峠駅から歩けますか
JR奥羽本線の峠駅が最寄りですが、駅から温泉までは山道です。車なら国道13号から板谷を経由して入ります。冬に滑川大滝を目指す場合、温泉までの道が閉まるため峠駅から歩くことになり、3時間から4時間かかるとされています。無雪期でも歩く場合は時間に余裕を持ってください。
ほかの温泉地と比べる
UPDATED 2026.09.24


