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Sukayu Onsen — 酸ヶ湯温泉

酸ヶ湯温泉旅館

すかゆおんせんりょかん

八甲田の山中に一軒だけ建つ湯治宿。総ヒバ造りの千人風呂と、今も残る湯治部が、三百年続いてきた使われ方を伝える。

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青森からバスで山を登る。ブナ林が続き、人家が途切れる。八甲田の中腹、周囲に何もない場所で降ろされる。ここが酸ヶ湯である。

千人風呂に入る

扉を開けると、視界が一気に広がる。

総ヒバ造りの浴室に柱がほとんどない。梁だけが高い天井を支えていて、その下に湯船が並んでいる。熱湯、四分六分の湯、冷の湯。名前が付いているのは、それぞれ温度も湧き口も違うからだ。

湯は白濁している。強い酸性で、入るとぴりりと来る。舐めると酸味がある。名前のとおりの湯だ。

木の香りと硫黄の匂いが混ざる。声が高い天井に吸われて、思ったより静かに感じる。

湯治部という選択

この宿には湯治部がある。台所があり、長期滞在の客が自分で食事を作る。

旅館として泊まるか、湯治として泊まるかを選べる。同じ建物で、同じ湯に入るのに、過ごし方がまったく違う。廊下で会う人の目的が自分と違う、という感覚がある。

雪の中の一軒

八甲田は日本有数の豪雪地帯で、積雪は数メートルに達する。

宿は通年営業しているが、冬の道路状況は厳しい。バスは冬季ダイヤになる。車で向かうなら装備と道路情報の確認が要る。

それでも冬に人が来る。雪に埋もれた山の中に、灯りがひとつだけある。その光景は他では得られない。

着くまで

JR奥羽本線の青森駅からバスでおよそ70分。東京からは新幹線で新青森へ、そこからバスになる。合計5時間ほどかかる。

周囲に集落はない。八甲田の山中に一軒だけ建っている。

千人風呂に入るとき

千人風呂は混浴である。ただし、そのまま放置されているわけではない。

湯は白濁して底が見えない。段差があるので、足を探りながら入ることになる。

この宿を選ぶなら

設備の快適さを求める宿ではない。湯と建物、そして周囲に何もないことが価値になる。

八甲田ロープウェーが近く、樹氷や紅葉を見に上がれる。奥入瀬渓流と十和田湖も同じ範囲にある。

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