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鉄輪温泉は大分県別府市、別府八湯のひとつである。別府駅から山手へ上がった斜面にあり、八つの地区のなかで湯治場の空気が最も濃く残っている。
一遍上人が開いた湯治場
別府市によれば、鉄輪むし湯は鎌倉時代の建治2年(1276年)に一遍上人によって創設された。念仏の旅の途中でこの地に立ち寄り、荒れていた地獄を鎮めて湯治場を開いたと伝わる。むし湯の受付の前には、今も一遍上人の木像が安置されている。
700年を超える湯治の歴史が、この地区の形をつくった。自炊しながら長く泊まる貸間という宿の形が残っているのも、そのためである。
街じゅうから蒸気が出ている
鉄輪を歩くと、まず湯けむりに気づく。路地のあちこちから蒸気が立ち上り、側溝からも湯気が出ている。家の横に蒸し窯がある。
この景観は2012年(平成24年)に「別府の湯けむり・温泉地景観」として国の重要文化的景観に選ばれた。観光のために作られた風景ではなく、蒸気を生活の道具として使ってきた結果が、そのまま残っている。
石菖を敷いた石室
鉄輪むし湯は、近年のサウナとは別のものである。
温泉の噴気で温められた八畳ほどの石室の床に、石菖という薬草を敷きつめる。清流沿いにしか群生しない草で、そこに人が横たわる。体の痛みに効くと言われてきた。詩人の野口雨情は「豊後鉄輪、むし湯の帰り、肌に石菖の香が残る」と詠んだ。
営業は通常6時30分から20時(最終受付19時30分)、700円。中学生以上が入れる。第4木曜が休館日で、夏期は時間が変わると市は案内している。
宿の一つ、みゆき屋は温泉そのものを流して、湯から立ち上る蒸気で蒸し湯を作っている。地下から吹き上げる蒸気を使うのが鉄輪では一般的だが、この宿はやり方を変えているという。
蒸気で食べる
地獄蒸しは、98度前後の温泉蒸気で食材を蒸す調理法である。江戸時代から湯治客に親しまれてきた。
高温の蒸気は短時間で火を通す。野菜も魚も卵も、同じ窯に入れて蒸し上がりを待つ。地獄蒸し工房では材料を持ち込んで自分で蒸せる。塩分をほとんど加えずに食べるのが本来の形で、湯治の食事として理にかなっている。
泉質と湯の使い方
別府市はむし湯の泉質を単純温泉、浴槽をナトリウム-塩化物泉としている。源泉の温度が高いので、宿はどこも温度調節を前提に湯を扱っている。みゆき屋は「鉄輪温泉のお湯は温度が高いので、ご入浴の際は温度調節をしつつ、湯質の良さをゆっくり肌で感じてください」と書く。かんなわ荘はメタケイ酸の含有量が431.5ミリグラムだとしている。
効き方は人によるので、体のことで気になる点があれば入る前に医師に確かめておきたい。
別府八湯のなかで
別府温泉は源泉数も湧出量も日本一で、八つの地区がそれぞれ違う湯を持つ。鉄輪はそのうち湯治色がいちばん濃い。さらに山を上がれば明礬温泉があり、こちらは白濁した硫黄泉と湯の花小屋の地区である。海側へ下りれば別府駅周辺の市街地の湯になる。
地獄めぐりは見学であって入浴ではない。血の池地獄と龍巻地獄は鉄輪から少し離れた亀川側にあり、海地獄やかまど地獄は鉄輪の中にある。
着くまで
JR別府駅から亀の井バスで20〜30分、「鉄輪」で降りる。バス停から温泉街はすぐで、歩いて回れる大きさである。
車では大分自動車道の別府ICから約5分。福岡から高速で約2時間、大分空港からバスで約1時間。別府八湯はバスで結ばれているので、車がなくても地区をまたいで回れる。
鉄輪温泉の日帰り入浴
- 鉄輪むし湯
- 地獄蒸し工房 鉄輪
- 血の池地獄・龍巻地獄
地獄めぐりは見学で、入浴する場所ではありません。入るのは共同浴場か宿の湯になります。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
冬・秋
- 所在地Location
- 大分県
- 泉質Spring Quality
- 塩化物泉・単純温泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR日豊本線 別府駅(亀の井バス約20〜30分、鉄輪下車)/大分道 別府IC(車約5分)
- 東京からFrom Tokyo
- 約3時間
- 大阪からFrom Osaka
- 約2時間30分
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
鉄輪温泉のよくある質問
Q鉄輪温泉の泉質は?
別府市はむし湯の泉質を単純温泉、浴槽をナトリウム-塩化物泉としています。鉄輪は源泉温度が高く、宿の一つは「鉄輪温泉のお湯は温度が高いので、ご入浴の際は温度調節をしつつ」と案内しています。別の宿はメタケイ酸の含有量が431.5ミリグラムだと書いています。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Q鉄輪むし湯とはどんなものですか?
別府市営の蒸し風呂です。市によると鎌倉時代の建治2年(1276年)に一遍上人によって創設され、受付の前に一遍上人の木像が安置されています。温泉で熱せられた床に石菖という清流沿いにしか群生しない薬草を敷きつめ、その上に人が横たわります。詩人の野口雨情は「豊後鉄輪、むし湯の帰り、肌に石菖の香が残る」と詠みました。
Q鉄輪むし湯の時間と料金は?
通常は6時30分から20時(最終受付19時30分)、2026年7月1日から9月30日は7時30分から19時30分(最終受付19時)に変わると別府市は案内しています。料金は700円で中学生以上が入浴できます。レンタル浴衣220円、10枚つづりの回数券6,300円。休館日は第4木曜(祝日の場合は翌日)です。
Q地獄蒸しとは?
98度前後の温泉蒸気で食材を蒸す調理法です。江戸時代から湯治客に親しまれてきました。共同の蒸し窯があり、持ち込んだ材料を自分で蒸せる施設もあります。宿でも蒸し料理を出すところがあります。
Q鉄輪温泉へのアクセスは?
JR別府駅から亀の井バスで20〜30分、「鉄輪」で降りればすぐです。車では大分自動車道の別府ICから約5分。別府駅周辺の温泉地とはバスで結ばれているので、別府八湯を回るならここを拠点にできます。
鉄輪温泉の宿

鉄輪温泉 旅館みゆき屋
大分県別府市鉄輪東、湯けむりの立つ路地にある全12室の宿。館内のいたるところに骨董のコレクションが飾られ、昭和の風情を残す。二つの貸切露天風呂と内湯の三つの湯はすべて源泉かけ流し。内湯には蒸し湯が付き、鉄輪では地下からの蒸気を使うのが一般的なところを、この宿は温泉そのものを流して湯から立ち上る蒸気で蒸し湯を作っている。冬はザボンなどのみかん湯になる。別府駅からバスで20〜30分、バス停からすぐ。

鉄輪温泉 かんなわ ゆの香
鉄輪の10室の宿。約60度で注がれる掛け流しの湯が41〜42度で湯船を満たす。pH4.0、メタケイ酸109mg/kg と宿は数値を出す。無料の貸切風呂が2つ。看板猫が5匹いる。バス停「鉄輪」から徒歩0分。
UPDATED 2026.09.24


