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庄屋が湯小屋を建てた
筌の口温泉は大分県玖珠郡九重町田野、鳴子川沿いの小さな集落にある。
九重町の公式サイトは、始まりをこう書いている。
「正保(1644〜1647)のころから村人が入浴していましたが、享保13年(1728)、田野庄屋徳右衛門がこの地に住宅を造り、湯小屋を建てたのが温泉の始まりです」。
村人が勝手に入っていた湯に、庄屋が家を建てて湯小屋を作った。そこから温泉地としての歴史が始まる。
九重町観光協会はその後も書いている。「明治の中期、大分牧場の創設・千丁牟田開拓・硫黄鉱山の創業等の関係者でにぎわい、そのころ旅館が建ち営業するようになりました」。
開拓と鉱山で人が入った土地だ。観光ではなく、仕事で来た人が使う湯だった。
黄褐色に濁る炭酸泉
湯の特徴は色である。
九重町は「炭酸泉で黄褐色に濁りがあるのが特徴です」と書く。九重町観光協会は「炭酸泉で少し濁りがありますが、胃腸病に特効があると評判です」とする。
炭酸水素塩泉に鉄分が混じると、空気に触れて酸化し、黄色から茶色に変わる。湧き出たときは透明でも、浴槽では濁っている。
同じ九重町でも、宝泉寺の単純温泉や寒の地獄の硫黄冷泉とはまったく違う湯だ。十一ある温泉地の性格の差が、ここではっきり出ている。
効き方は人によるので、胃腸病に特効という部分は評判として読んでほしい。
共同浴場は改修で休む
筌の口には地元の管理組合が運営する共同温泉がある。「筌の口温泉」という名前で、この温泉地の中心にあたる。
九重町観光協会は「地元管理組合が管理している共同温泉『筌の口温泉』は人気が高く、多くの人々が訪れます」と書いている。
ただし、2026年9月に休館の告知が出た。「筌の口共同浴場は改修工事のため、2026年10月1日〜2027年3月末まで(予定)休館いたします」。再開の日程が決まったら観光協会のサイトで知らせるとしている。
共同浴場目当てで行くなら、必ず事前に確かめたい。
川端康成が来た年
九重町観光協会の紹介文に、一行だけ文学の話が入っている。
「昭和27年、文豪川端康成がこの地を訪れ、後に九重を主舞台とした小説『波千鳥』を残されました」。
「波千鳥」は「千羽鶴」の続編にあたる作品だ。九重が舞台になっている。
1952年の九重は、まだ観光地として整備される前である。硫黄鉱山と牧場の土地だった。
温泉地の由緒書きに文豪の名前が並ぶのは珍しくないが、ここは一軒宿のある小さな集落なので、その一行の存在感が大きい。
九酔渓と震動の滝
筌の口の周りには景勝地がある。
九重町観光協会が挙げているのは九酔渓と震動の滝。九酔渓は鳴子川が刻んだ渓谷で、秋は紅葉で知られる。震動の滝は落差83メートルの雄滝があり、水量が多いと地面が震えるという名前の由来を持つ。
九重夢大吊橋からは震動の滝が見える。歩行者専用の吊り橋で、高さ173メートル、長さ390メートル。筌の口からは車で5分ほどだ。
観光協会はさらに、朝日長者伝説の七不思議にある「殺生石」や「鳴川」も近くにあると書いている。
十一のうちの山側
九重町は町内の温泉地を「九重夢温泉郷」としてまとめている。筋湯、宝泉寺、長者原、湯坪、龍門、壁湯、筌の口、寒の地獄、九酔渓、川底、水分の十一。
筌の口はそのうち山側にある。隣は寒の地獄温泉で、13度から14度の冷泉に水着で入る変わった温泉地だ。
くじゅう連山の登山基地である長者原へも車で15分ほど。やまなみハイウェイに近い。
宿は多くない。静かに泊まって、湯と滝と渓谷を見る。それだけの場所である。
着くまで
JR久大本線の豊後中村駅から車で30分ほど。バスなら牧の戸方面行きで筌の口温泉下車、そこから徒歩300メートルほど。
車なら大分自動車道の九重ICから20分ほど。やまなみハイウェイに出れば、湯布院へも阿蘇へも走れる。
バスの本数は多くない。公共交通で行くなら、時刻表を先に見てから組み立てたい。
熊本の黒川温泉へは車で30分ほど。県境をまたいだ旅程が作れる位置にある。
筌の口温泉の日帰り入浴
- 九酔渓
- 震動の滝
- 九重夢大吊橋
九重町は十一の温泉地を持つ。筌の口は山側にあたる。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
秋・冬
- 所在地Location
- 大分県
- 泉質Spring Quality
- 炭酸水素塩泉・含鉄泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR久大本線 豊後中村駅(車約30分/バス牧の戸方面行き 筌の口温泉下車 徒歩約300m)/大分道 九重IC(車約20分)
- 東京からFrom Tokyo
- 約4時間30分
- 大阪からFrom Osaka
- 約5時間
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
筌の口温泉のよくある質問
Q筌の口温泉はどこにありますか
大分県玖珠郡九重町田野、鳴子川沿いです。JR久大本線の豊後中村駅から車で30分ほど、バスなら牧の戸方面行きで筌の口温泉下車、徒歩300メートルほど。大分自動車道の九重ICからは車で20分ほどです。九重夢大吊橋からも近い位置にあります。
Qいつからある温泉ですか
九重町はこう書いています。「正保(1644〜1647)のころから村人が入浴していましたが、享保13年(1728)、田野庄屋徳右衛門がこの地に住宅を造り、湯小屋を建てたのが温泉の始まりです」。九重町観光協会は、明治の中期に大分牧場の創設や硫黄鉱山の創業などで人が増え、そのころ旅館が建ち営業するようになったと続けています。
Qどんな湯ですか
九重町は「炭酸泉で黄褐色に濁りがあるのが特徴です」と書いています。九重町観光協会は「炭酸泉で少し濁りがありますが、胃腸病に特効があると評判です」としています。効き方は人によるので、体のことで気になることがあれば医師に確かめてください。
Q共同浴場はありますか
あります。地元の管理組合が運営する「筌の口温泉」という共同温泉です。ただし九重町観光協会は2026年9月に、改修工事のため2026年10月1日から2027年3月末まで(予定)休館すると告知しています。再開の日程は観光協会のサイトで知らせるとしています。行く前に必ず確かめてください。
Q川端康成との関係は何ですか
九重町観光協会は「昭和27年、文豪川端康成がこの地を訪れ、後に九重を主舞台とした小説『波千鳥』を残されました」と書いています。「波千鳥」は「千羽鶴」の続編にあたる作品です。
Q周りに何がありますか
九重町観光協会は近くの景勝地として九酔渓と震動の滝を挙げ、朝日長者伝説の七不思議にある「殺生石」や「鳴川」も近くにあるとしています。九重夢大吊橋からは震動の滝が見えます。
ほかの温泉地と比べる
UPDATED 2026.09.25



