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岩壁の洞窟から湧く
壁湯温泉は大分県玖珠郡九重町町田。町田川の岸にある。
名前が場所を言い表している。壁の湯。川沿いの岩壁にできた洞窟から、湯が湧き出している。
福元屋は「300年以上も昔から自噴している温泉は長らく旅人や地元の方々に愛され続けています」と書く。人が掘った浴室ではない。もともと湯が湧いていた岩の窪みを、そのまま浴槽にしている。
宿は一軒だけだ。壁湯温泉と福元屋は、ほぼ同じものを指す。
足元から湧いてくる
この湯のいちばんの特徴は、湧き方にある。
浴槽の底から湯が出る。パイプで引いてくるのではなく、自分が座っている足元から湧いている。専門的には足元自噴と呼ぶ。
日本秘湯を守る会に登録された情報では、湧出量は毎分1370リットル。相当な量だ。浴槽の湯が短時間で入れ替わることになる。
空気に触れていない湯に直接浸かれる。全国でも数えるほどしかない形式である。
三十九度という温度
源泉温度は39度。体温より少し高いくらいだ。
熱い湯なら数分で出ることになるが、39度なら三十分でも一時間でも入っていられる。
ぬる湯は、体への負担が小さい。血圧の急な変動も起きにくい。湯治に使われてきた湯の多くが、この温度帯にある。
泉質は単純温泉。無色透明で刺激が弱い。色も匂いも強くないぶん、湧き方と温度で記憶に残る湯だ。
五つの風呂
福元屋は自らの浴場を「5つの秘湯」と呼ぶ。
内訳は、混浴露天風呂1、手掘湯(女性専用)1、貸切風呂2、共同浴場、夏専用1。日本秘湯を守る会の登録では内湯が貸切2と混浴1、露天が混浴1とされている。
手掘湯という名前が面白い。人の手で掘った湯という意味だろう。女性専用になっている。
貸切湯については、日本秘湯を守る会の登録に「貸切湯のみ一部加温あり」と記されている。39度の源泉をそのまま張ると、季節によっては寒い。そこだけ温めている、ということだ。加水や循環の記載はない。
明治から守ってきた宿
日本秘湯を守る会に登録された福元屋の紹介には「明治の初めから湯治客や旅の商人を相手に名湯を守ってきた」とある。
客室は8室から9室。会の登録には「僅か8室、20人も入れば一杯の宿」と書かれている。
日本秘湯を守る会の会員宿である。この会は、宿が山奥にあるかどうかではなく、湯をどう守っているかで会員を選ぶ。洞窟の湯を三百年そのまま使ってきたという一点で、会の性格にきれいに合っている。
日帰りでも入れる
福元屋は立ち寄り湯の受付を10時から16時、共同浴場の立ち寄り湯を10時から15時としている。日本秘湯を守る会の登録でも日帰り入浴は10時から16時。
洞窟の湯に入るためだけに寄る人も多い。九重の温泉をめぐる一日の途中に組み込める時間帯になっている。
九重の湯のなかで
九重町には温泉が多い。筋湯、筌の口、寒の地獄、宝泉寺、そして壁湯。
筋湯は打たせ湯で知られる。寒の地獄は十度台の冷泉に浸かる。筌の口は川端康成が訪れた湯。宝泉寺は町田川沿いの温泉街。
どれも車で回れる範囲にある。そのなかで壁湯を選ぶ理由は、洞窟と足元自噴の一点だ。
九重夢大吊橋やくじゅう連山の登山口も近い。昼は山と橋、夜は洞窟の湯。そういう一泊になる。
行き方
JR久大本線の豊後森駅から車で15分。大分自動車道の九重ICまたは玖珠ICからも車で15分。駐車場は30台で無料、予約不要。
福岡からも大分からも二時間圏内だ。九州の温泉というと別府や湯布院、黒川に人が集まるが、そこから少し外れたところに、こういう湯が残っている。
壁湯温泉の日帰り入浴
- 筋湯温泉
- 筌の口温泉
- 九重夢大吊橋
- 宝泉寺温泉
九重の温泉は車で回る距離にある。日帰りの受付時間は施設ごとに違う。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
39℃温泉
2060100℃
春・夏・秋
- 所在地Location
- 大分県
- 泉質Spring Quality
- 単純温泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR久大本線 豊後森駅から車で約15分
- 東京からFrom Tokyo
- 福岡空港か大分空港から車。大分自動車道の九重ICまたは玖珠ICから車で約15分。
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
壁湯温泉のよくある質問
Q洞窟の温泉というのはどういうことですか
川岸の岩壁にできた洞窟のなかに浴槽があります。福元屋は「300年以上も昔から自噴している温泉は長らく旅人や地元の方々に愛され続けています」と書いています。人工的に掘った浴室ではなく、もともと湯が湧いていた岩の窪みをそのまま使う形です。壁湯という名前も、岩壁から湧く湯であることに由来します。
Q泉質と温度を教えてください
日本秘湯を守る会に登録された福元屋の情報では、泉質は単純温泉、源泉温度は39度、湧出量は毎分1370リットルです。39度はぬるめなので長く浸かれます。毎分1370リットルという湯量は、浴槽の湯が短時間で入れ替わる量です。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Qお風呂はいくつありますか
福元屋は「5つの秘湯」とし、混浴露天風呂1、手掘湯(女性専用)1、貸切風呂2、共同浴場、夏専用1を挙げています。日本秘湯を守る会の登録では内湯が貸切2と混浴1、露天が混浴1とされています。
Q日帰りで入れますか
入れます。福元屋は立ち寄り湯の受付を10時から16時、共同浴場の立ち寄り湯を10時から15時としています。日本秘湯を守る会の登録でも日帰り入浴は10時から16時です。
Q九重のほかの温泉とはどう違いますか
九重町には筋湯温泉、筌の口温泉、寒の地獄温泉、宝泉寺温泉など性格の違う湯が並んでいます。筋湯は打たせ湯、寒の地獄は冷泉で知られます。壁湯は洞窟のなかの足元自噴というところが他にない点です。車で回れる範囲にあるので、湯めぐりの一つとして組み込めます。
ほかの温泉地と比べる
UPDATED 2026.09.25



