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那須温泉郷は単独の温泉地ではなく、那須岳の山腹に散らばる複数の温泉の総称である。那須湯本、大丸、北、弁天、高雄、三斗小屋——それぞれ源泉も雰囲気も異なる。
中心にあたるのが那須湯本で、開湯は7世紀にさかのぼると伝えられる。
鹿の湯に入るとき
鹿の湯は宿ではない。日帰り専用の共同浴場である。
中に入ると、41度から48度まで温度の違う湯船が並んでいる。自分の耐えられる温度を選んで入る仕組みで、高温槽は慣れていないとかなり熱い。低いほうから順に体を慣らしていくのが作法になっている。
洗い場はない。シャンプーも石鹸も使えない。体を洗う場所ではなく、湯に浸かる場所である。
単純酸性硫黄泉で、白濁した湯に強い硫黄の香りがある。酸性のため肌に刺激を感じることがある。肌の弱い方は長湯を避けたほうがよい。銀製品は変色するので外して入ること。
持ち物はタオルだけでよい。それ以上のものは、この浴場では使えない。
那須は二つある
「那須に行く」と言うとき、指しているものが二つに分かれる。
一つは那須温泉郷である。那須岳の山腹に那須湯本、大丸、北、弁天、高雄、三斗小屋といった湯が散らばっている。中心が那須湯本で、開湯は7世紀にさかのぼると伝えられる。硫黄の匂いのする、湯治の色が濃い一帯である。
もう一つは那須高原である。牧場、美術館、洒落た飲食店が車で回れる範囲に集まっている。避暑地・高原リゾートとしての那須で、こちらには湯の匂いがない。
同じ「那須」でも、この二つは目的も雰囲気も違う。どちらを目当てに行くのかで、泊まる場所も回り方も変わる。両方入れるなら一泊二日が要る。
火山の上を歩く
那須岳は今も活動する火山である。この一帯の湯はすべてその産物にあたる。
那須ロープウェイで茶臼岳の九合目まで上がれば、火山の山肌を間近に見られる。山頂まで歩いて登ることもできる。
温泉街のすぐそばには殺生石がある。硫化水素ガスが噴き出す草木の生えない岩場で、近づいた生き物が命を落としたことから、九尾の狐が姿を変えたという伝説が生まれた。松尾芭蕉も『おくのほそ道』の途上でここを訪れている。周囲は賽の河原と呼ばれ、無数の地蔵が並ぶ。
ガス濃度により立ち入りが制限されることがある。遊歩道から外れないこと。
紅葉は例年10月上旬から中旬に、山の上から下りてくる。
湯本以外の那須の湯
那須温泉郷は那須湯本だけではない。
大丸、北、弁天、高雄といった湯が那須岳の山腹に散らばっており、それぞれ源泉も雰囲気も違う。宿の数は多くないが、そのぶん静かである。
最奥にあるのが三斗小屋温泉である。ここへは車道が通じておらず、歩いて登るしかない。山中の宿として営業しており、登山者が使ってきた。行くこと自体が行程になる湯である。
那須湯本の鹿の湯が日帰り専用であることを考えると、「那須で泊まって湯に入る」なら、どの地区の宿を取るかを先に決めることになる。
東京から週末に行く
東京から東北新幹線で那須塩原駅までおよそ70分、そこからバスで那須湯本へ。合計で二時間半ほどになる。黒磯駅からのバスもある。
日帰りなら、鹿の湯で一浴して殺生石を歩く。これで半日が埋まる。
一泊するなら、初日に鹿の湯と殺生石、翌日にロープウェイと高原の観光施設という配分がよい。高原一帯を回るなら車が便利だが、鹿の湯と殺生石だけならバスで足りる。
塩原温泉郷も那須塩原駅から入れる。谷に十一の温泉地が連なる一帯で、那須の強い酸性硫黄泉とは湯の性格がまったく違う。車があれば一泊二日で両方を回れる。
歩き方
那須温泉郷の日帰り入浴
- 鹿の湯
洗い場のない湯治場の造りで、シャンプーなどは使えません。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
夏・秋
- 所在地Location
- 栃木県
- 泉質Spring Quality
- 硫黄泉・酸性泉・単純温泉
- 最寄駅Nearest Station
- JR東北新幹線 那須塩原駅(バス約1時間)
- 東京からFrom Tokyo
- 約2時間30分
- 大阪からFrom Osaka
- 約5時間30分
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
那須温泉郷のよくある質問
Q那須湯本温泉は日帰りでも入れますか?
入れます。共同浴場の鹿の湯が日帰り専用の施設で、那須湯本の湯を体験する中心になっています。東京から新幹線とバスでおよそ二時間半なので、日帰りの行程も成り立ちます。ただし鹿の湯は洗い場のない湯治場の造りで、シャンプーなどは使えません。
Q鹿の湯の温度はどうなっていますか?
41度から48度まで、温度の違う複数の湯船が並んでいます。自分の耐えられる温度を選んで入る仕組みで、高温槽は慣れていないとかなり熱く感じます。低い温度から順に体を慣らしていくのが作法です。入浴時間の目安が掲示されているので従ってください。
Q那須湯本温泉はどんな泉質ですか?
単純酸性硫黄泉で、白濁した湯に強い硫黄の香りがあります。酸性のため肌に刺激を感じることがあり、肌の弱い方は長湯を避けたほうがよいでしょう。銀製品は変色するので外して入ってください。
Q殺生石とは何ですか?
那須湯本の湯畑にあたる場所に広がる、硫化水素ガスの噴出する岩場です。九尾の狐が姿を変えたという伝説が残り、松尾芭蕉も『おくのほそ道』で訪れています。周囲は賽の河原と呼ばれ、無数の地蔵が並びます。ガスが出ているため、遊歩道から外れないでください。
Q那須高原とあわせて回れますか?
回れます。那須湯本は那須高原の一角にあり、牧場、美術館、ロープウェイなどが車で回れる範囲に集まっています。那須ロープウェイで茶臼岳の九合目まで上がれば、活火山の山肌を間近に見られます。湯と高原観光を組み合わせた一泊二日が組みやすい土地です。
ほかの温泉地と比べる
那須温泉郷の宿

那須湯本温泉 旅館 清水屋
那須湯本の12室の宿。那須温泉発祥の湯「鹿の湯」の源泉をかけ流しで使う。酸性の硫黄泉で、宿は飲用しないよう案内している。「とちぎのにごり湯の会」会員。那須塩原駅からバス50分、湯本一丁目バス停が目の前。

那須湯本温泉 雲海閣
鹿の湯と同じ源泉を引く湯治宿。木造の階段を下りた先に、白濁の硫黄泉をたたえた浴室がある。
UPDATED 2026.08.13


