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山の湯と呼ばれていた
鹿沢温泉は群馬県吾妻郡嬬恋村。湯の丸高原の群馬側にある。
日本温泉協会はこの温泉地の昔の呼び名を記している。「この温泉は、昔『山の湯』と呼ばれ、長野県東御市からの湯治客が多く、この街道を『湯道』と称した」。
群馬の温泉地でありながら、客は長野から来た。峠を越えて歩いてくる道を、湯道と呼んだ。
百体の観音が道を示す
その湯道には、目印が置かれている。
嬬恋村の説明を引く。「長野県の東御市新張から鹿沢温泉までの峠の道筋に、村人が一番から百番まで百体の観音像を安置して、旅の安全を祈り道しるべとしたもの」。
日本温泉協会はもう少し細かい。一町(約110メートル)ごとに石像があり、鹿沢温泉の紅葉館の横にある百番観音は一段と大きな千手観音像だという。
約11キロの道に、110メートルおきに百体。湯治客は一番から数えながら歩いて、百番にたどり着いたら湯に入る。道そのものが数えられる構造になっている。
大正七年に、町が移った
今の地図を見ると、鹿沢温泉と新鹿沢温泉の二つが載っている。もとは一つだった。
大正7年の火事で温泉街が壊滅した。そのあと、源泉のある紅葉館を残して、引湯管を整備した先へ宿が移った。それが新鹿沢温泉である。
鹿の湯つちやも「江戸時代後期よりある古い温泉で、昔は当地より4km上の鹿沢地区にあった」と登録している。四キロ下がった場所に、町ごと移ったということだ。
嬬恋村は、二つを結ぶ「湯尻川歩道」があると書いている。歩いてつながっている。
雪山讃歌が生まれた宿
鹿沢温泉には、もうひとつ知られた話がある。
嬬恋村の記述を引く。「『雪山讃歌』発祥の地、鹿沢温泉。昭和の初め、鹿沢を訪れた西掘栄三郎氏(第一次南極越冬隊長)らが吹雪に閉じ込められ、退屈しのぎに湯宿で作詞した」。
西堀栄三郎は、のちに第一次南極越冬隊長をつとめた人物だ。吹雪で足止めされた宿で、暇つぶしに歌詞を書いた。それが山の歌として広く歌われるようになった。
「雪よ岩よ われらが宿り」で始まる歌である。
赤茶色の湯の花
泉質について、鹿の湯つちやが具体的に書いている。
「温泉の温度は42℃前後、泉質はおだやかな炭酸アルカリ泉で、やけど、切り傷に効き、又血行促進に効能あります。飲用すると胃腸機能の向上に資するとされています」。
赤茶色の湯の花が出る湯だ。宿は「赤茶色の【湯の花】を肌にすり込めば美肌効果抜群」とも書いている。
42度前後というのは、そのまま入れる温度である。手を加える必要が少ない。
国が選んだ保養地
鹿沢温泉は国民保養温泉地に指定されている。
環境省が公開している国民保養温泉地計画の一覧に「鹿沢温泉国民保養温泉地計画」があり、直近の改訂は令和6年3月とされている。
群馬県で指定されているのは、四万温泉、鹿沢温泉、そしてみなかみ町(上牧・奈女沢・湯宿・川古・猿ヶ京・法師温泉)の三つである。
湯の丸高原の群馬側
鹿沢温泉は湯の丸高原の東側にあたる。峠を越えれば長野県の東御市だ。
湯の丸高原にはスキー場があり、夏はレンゲツツジの群落で知られる。高原一帯は国の天然記念物に指定されている。
上信越自動車道の東部湯の丸ICから車で40分ほど。北陸新幹線なら軽井沢か上田から入る。
峠を越えて湯に来るという形は、百体観音が置かれた時代から変わっていない。今は車で越えるだけだ。
鹿沢温泉の日帰り入浴
- 百体の道しるべ観音
- 湯の丸高原
- 湯尻川歩道
- 湯の丸スキー場
湯の丸高原は標高が高い。冬の峠道は装備が要る。
受付時間・定休日・料金は施設ごとに異なり、変更されることもあります。 お出かけの前に各施設の案内をご確認ください。
温泉地カルテ
夏・秋・冬
- 所在地Location
- 群馬県
- 泉質Spring Quality
- 炭酸水素塩泉
- 最寄駅Nearest Station
- 上信越自動車道 東部湯の丸ICから車で約40分
- 東京からFrom Tokyo
- 北陸新幹線で軽井沢か上田へ。そこから車で湯の丸を越える。
※ 泉質・泉温・pH は代表的な源泉の値です。施設ごとに異なる場合があります。 効能は泉質の一般的な適応症であり、効果を保証するものではありません。
鹿沢温泉のよくある質問
Q鹿沢温泉と新鹿沢温泉はどう違うのですか
もとは同じ温泉地です。大正7年の火事で温泉街が壊滅し、源泉のある紅葉館を残して、引湯管を整備した先の現在地へ宿が移りました。それが新鹿沢温泉です。嬬恋村は二つを結ぶ「湯尻川歩道」があると書いています。鹿の湯つちやも「江戸時代後期よりある古い温泉で、昔は当地より4km上の鹿沢地区にあった」と登録しています。
Q百体観音とは何ですか
湯治客が歩いた「湯道」に置かれた道しるべです。嬬恋村は「長野県の東御市新張から鹿沢温泉までの峠の道筋に、村人が一番から百番まで百体の観音像を安置して、旅の安全を祈り道しるべとしたもの」と書いています。日本温泉協会は一町(約110メートル)ごとに石像があり、紅葉館の横にある百番観音は一段と大きな千手観音像だとしています。
Q雪山讃歌の発祥地というのは本当ですか
嬬恋村がそう書いています。「『雪山讃歌』発祥の地、鹿沢温泉。昭和の初め、鹿沢を訪れた西掘栄三郎氏(第一次南極越冬隊長)らが吹雪に閉じ込められ、退屈しのぎに湯宿で作詞した」。西堀栄三郎は第一次南極越冬隊長をつとめた人物です。
Q泉質は何ですか
鹿の湯つちやは「温泉の温度は42℃前後、泉質はおだやかな炭酸アルカリ泉で、やけど、切り傷に効き、又血行促進に効能あります。飲用すると胃腸機能の向上に資するとされています」と登録し、赤茶色の湯の花が出るとしています。紅葉館の源泉はマグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉と紹介されています。効き方は人によるので、気になることは医師に確かめてください。
Q国民保養温泉地ですか
そうです。環境省が公開している国民保養温泉地計画の一覧に「鹿沢温泉国民保養温泉地計画」があり、直近の改訂は令和6年3月とされています。
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UPDATED 2026.09.25



