温泉は湯に浸かるものですが、浸からない入り方もあります。砂に埋まる、蒸気で蒸す。それぞれ土地の条件から生まれた形です。
砂むし
砂むしは、浴衣を着たまま砂に横たわり、温泉で温められた砂をかけてもらう入り方です。
指宿温泉で知られます。地下から湧く温泉が砂を下から温めているので、掘れば湯気が立ちます。海辺の砂むし会館で屋外の砂に埋まる形と、宿の館内で体験できる形があります。
砂に埋まると通常の入浴より発汗が早いとされます。目安は10分前後で、長く入ればよいというものではありません。気分が悪くなったらすぐ出ること。砂から出たら温泉で砂を流しますが、すでに相当汗をかいているので、湯に長く浸かる必要はありません。
蒸し湯
蒸し湯は、温泉の蒸気を使った蒸し風呂です。
湯温が高く蒸気が豊富な土地で、古くから使われてきました。別府の鉄輪には蒸し湯の施設があり、杖立温泉にも伝統の蒸し湯が残っています。雲仙や鉄輪では、同じ蒸気で食材を蒸す地獄蒸しも行われています。
湯に浸かるのとは別の入り方で、体の温まり方も違います。これも時間を決めて短く、が基本です。
砂湯という名前
紛らわしいのが、湯原温泉の砂湯です。
名前に「砂」がついていますが、砂むしではありません。旭川の河原に湧く無料の露天風呂で、ダムを背にした川べりで湯に浸かります。西日本を代表する露天風呂として名が知られ、混浴で、増水時や清掃時間は入れません。
砂むしを目的に湯原へ行くと、まったく別のものに出会います。逆に、砂湯を目的に指宿へ行っても、河原の露天風呂はありません。
土地の条件が形を決める
砂むしは、海辺の砂の下に温泉が湧いているという指宿の条件から生まれました。
蒸し湯は、湯が熱すぎて浸かれないほど蒸気が出る土地の知恵です。砂湯は、河原そのものから湯が湧く湯原の地形が作ったものです。
湯に浸かるという一つの形に収まらないところに、温泉地ごとの性格が出ています。




