国民保養温泉地は、国が「療養に適した温泉地」として指定する制度です。
温泉法に基づき、環境大臣が指定します。観光の人気ではなく、湯治や療養の場としての質で選ばれます。
1954年、三か所から
制度は1954年に始まりました。
最初に指定されたのは、酸ヶ湯温泉、日光湯元温泉、四万温泉の三か所です。いずれも古くから湯治場として使われてきた温泉地で、観光地として発展した結果ではなく、湯の効きが先にありました。
酸ヶ湯には今も湯治のための部屋が残っています。四万は「四万の病を治す」という名の由来を持つ温泉地です。
何が基準か
指定の条件として挙げられているのは、療養に適した泉質と湯量、保たれた環境、医療や保養の体制などです。
温泉地の側は、計画を立てて環境や利用の質を保つことになります。指定は一度されれば終わりではなく、その質を維持していくことが求められます。
有名かどうかとは別
指定は観光地としての規模や知名度とは対応しません。
小さな温泉地が指定されていることもあれば、大きな温泉地が指定されていないこともあります。療養の場としての条件で見ているためです。
だから、この指定は「湯治や療養に向く温泉地を選ぶときの手がかり」として使えます。有名だから良い湯、というのとは別の物差しです。
療養泉との関係
国民保養温泉地の条件には、療養泉としての泉質が含まれています。
療養泉は、温泉法上の温泉のうち、療養に役立つ成分や温度の条件を満たすものです。温泉地の指定と、湯そのものの分類は、別の制度ですが重なっています。
訪れるなら
指定された温泉地は、湯治の形が残っていることが多い。
一泊で湯に入るだけでもよいが、連泊して一日に何度か短く入るという使い方が、本来の形に近い。予定を詰めずに行くと、この制度が何を守ろうとしているのかが分かります。
参考
環境省「温泉の保護と利用」(国民保養温泉地の一覧と指定基準)





