温泉は火山の国の恵み、とよく言われます。それは半分だけ正しい。火山とは関係なく湧く温泉も、各地にあります。
火山性温泉
火山の熱で温められた湯です。
地下のマグマの熱が地下水を温め、火山ガスの成分が湯に溶けます。硫黄や酸を含み、湯が白濁したり刺激が強かったりすることが多い。草津、別府、登別のような温泉地がこれにあたります。
湯の個性が強いのは、火山ガスの成分が入るためです。強酸性泉や硫黄泉の多くは火山性です。
非火山性温泉
火山とは関係なく湧く湯です。
地下深くの水が地熱で温められて湧くもの、太古の海水が地層に閉じ込められて湧くもの(化石海水)などがあります。松之山温泉は化石海水の温泉として知られ、海から遠い山中で塩辛い湯が湧きます。
都市部の温泉施設の多くも非火山性で、地下深くまで掘って湯を汲み上げています。火山がなくても、温泉法の条件を満たせば温泉です。石和温泉のように、掘削中に湯が噴き出して温泉地になった例もあります。
有馬という例外
有馬温泉は、火山の直下ではないのに高温で塩分が濃い湯が湧きます。
地下深くのプレートに由来する水が上がってきているためと考えられています。火山性でも典型的な非火山性でもない、他にあまりない成り立ちです。日本三古湯のひとつがこの湯だというのは、古くから人がこの湯の異質さに気づいていたということでもあります。
湯の性格との関係
火山性か非火山性かは、湯の性格を見る一つの手がかりになります。
強い湯を求めるなら火山性の温泉地に多く、穏やかな湯や塩化物泉を求めるなら非火山性にも多い。ただし例外は多く、分析書の泉質を見るほうが確実です。成り立ちは背景の話で、入るときに見るのは湯そのものです。
温泉地の景色
火山性の温泉地には、地獄谷や噴気地帯があります。
別府の地獄、登別の地獄谷、雲仙地獄。湯が湧く理由を目で確かめられる場所です。非火山性の温泉地にはそれがなく、代わりに海や川や町並みが景色になります。どちらを見に行くかで、選ぶ温泉地が変わります。





