湯から上がってしばらく体が熱いままの湯と、すぐに冷めてくる湯があります。
この差は、湯に溶けている成分で決まります。
塩化物泉は「熱の湯」
塩化物泉は、なめると塩辛い湯です。
肌に付いた塩分が汗の蒸発を抑えるため、湯上がりの保温効果が高い。古くから「熱の湯」と呼ばれてきました。有馬温泉の金泉は塩分濃度が高く、湯から上がっても汗が引かず、しばらく体が熱いままになります。冬に来ると、外に出てからもその効果が続いているのが分かります。
和倉温泉も海から湧いた塩化物泉で、同じ性格を持ちます。硫酸塩泉も保温性が高いとされ、塩化物泉と並んで「冷めにくい湯」に数えられます。
雪国の湯として
銀山温泉の湯は含硫黄のナトリウム・塩化物泉です。
湯から上がって浴衣で廊下を歩いても、体が冷めにくい。雪深い土地の湯として理にかなっています。冷えやすい土地に保温性の高い湯が湧いているという組み合わせは、偶然でも、その土地の温泉が長く使われてきた理由の一つになっています。
さっぱりする湯
アルカリ性単純温泉や炭酸水素塩泉は、肌の角質をやわらげます。
湯上がりはさっぱりして、肌がなめらかになる。下呂温泉がその代表です。そのぶん、塩化物泉のような保温の膜はできません。冷めやすいというより、体に残るものが少ないという性格です。夏に向く湯ともいえます。
湯冷めを防ぐ入り方
上がったらすぐに体を拭く。髪を乾かす。体が温かいうちに服を着る。
塩化物泉なら、上がり湯で塩分を流さないほうが保温は続きます。ただし肌の弱い方は、強い湯のあとは真水で流したほうが負担が軽くなります。どちらを取るかは湯の強さと肌によります。
冬は浴室と脱衣所の温度差が大きい。露天風呂から戻るときは特に、体を冷やさないよう気をつけたい。
冷める湯が悪いわけではない
湯冷めしにくいほうがよい湯、ということはありません。
冬に冷えやすい人には塩化物泉が合い、夏にさっぱりしたい人にはアルカリ性単純温泉が合う。季節と体に合わせて選ぶための性質の違いです。




